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2026.08.19 life

無理に飾らず、整えすぎず その年だけのワインをそのまま

エリア

下越/佐渡

新潟の気候風土を映す個性豊かな10のワイナリーが集う「新潟県ワイナリー協会」加盟社によるリレーコラム。今月はHakko Chaud(ハッコーショオ)/Kobayashi Winery 株式会社(新潟市西蒲区)代表の小林英雄さんが、ワイン造りへの思いと楽しみ方を紹介します。


ワイン造りは思い通りにならないからおもしろい

毎年同じように畑へ行っても、毎年同じブドウはできません。
暑い年もあれば、雨の多い年もある。
同じ品種でも、畑が変われば味わいは変わります。だから、ワインは思い通りにはいきません。でも、その思い通りにならないところが、おもしろいんですよね。


ハッコーショオは、その年のブドウが持っているものを、できるだけそのままワインにしたいと思っています。
無理に飾らない。無理に整えすぎない。
その年にしかできない味を、そのまま瓶に閉じ込めたいんです。

それを感じて飲んでみてほしいです。あれこれ考えてもいいし、何も考えなくてもいい。
とにかく、ワインで楽しく、です。

ハッコーショオという名前には、「発酵」という言葉を入れました。
ワイン造りは、人が全部造っているように見えるかもしれません。
でも、本当にワインを造っているのは、ブドウと酵母などの微生物なんですよね。


実は人ができることは、それほど多くありません。
畑でいいブドウが育つように手をかけること。
醸造が始まったら、毎日様子を見ながら、必要な分だけ、手を添えること。

できるだけ発酵工程に介入したくない。
余計に手を加えると、だいたいおもしろくなくなるんですよね。。 

ハッコーショオのワインは、自社畑だけで造っているわけではありません。
新潟県内の契約農家さん、県外の畑のブドウも仕込みます。

ブドウにはそれぞれの畑があって、それぞれの一年があります。
暑い日も、雨の日も、ブドウと向き合ってきた農家さんがいます。
その一年を受け取って、ワインにつないでいきます。


ワイナリーがおもしろいワインを造れば、またブドウを買えます。
農家さんはまたブドウを育てられる。
そうやってブドウ畑が残っていくといいなと思っています。

ワインは醸造場だけでは生まれません。
畑で働く人たちみんなで造っているものだと思います。 

毎年、同じ味を目指しているわけではありません。
もちろん、「ハッコーショオらしさ」はあります。
でも、それ以上に、その年のブドウが持っているものを大事にしたいと思っています。


新しいことをやりたいというのもありますが、そのブドウを見ていると「今年はこう造ったほうがいいな」って思うことがよくあります。それはあくまで勘ですが、そう信じて進めていくことが大切だと思っています。

迷いは液体に出ます。
ブドウを信じて、そのあるべき姿を掘り出していくことが一番大事だと思います。
そうすると、同じ気候が二度とないように、毎年違う姿になっていきますね。
それがやっぱりめちゃめちゃ楽しい。

また飲みたくなる一本を

ワインには、いろいろな評価があります。
でも、一番うれしいのは、楽しい時間を過ごしてもらえたことです。
夕飯の時間が少し楽しくなったり。
久しぶりに会った人との会話が弾んだり。
誰かに一本持って行きたくなったり。

そんな時間のそばに、ハッコーショオのワインがあったらうれしい。
それが最高ですね。

毎年、畑と向き合って、毎年違う発酵と向き合う。
そうしてできた一本を、「今年もよかったね」って笑いながら楽しんでもらえたら、めっちゃ嬉しいですね。
ワインで楽しく。

それが、ハッコーショオです。


 プロフィール
Hakko Chaud
(ハッコーショオ)/Kobayashi Winery 株式会社
代表 小林英雄
アラブ首長国連邦出身。福岡県で生まれ、1歳から15歳までアラブ首長国連邦のドバイで育つ。筑波大学で生物資源学(農学)を専攻。在学中にオーストラリアのワイナリーに住み込みで働きダイビングのインストラクターの資格も取得。帰国後、大学院で微生物学を専門に生命共存科学で博士号を取得。大学院卒業後、ビジネスコンサルティング会社(アクセンチュア)に入社。2008年にカーブドッチワイナリーでの修行をスタート。20119月にワイナリーをオープン。ボルダリングでもっと強くなりたいが腰痛が悩み。

Hakko Chaud(ハッコーショオ)
住所|新潟市西蒲区角田浜1700-1
HPhttps://domainechaud.net/