「チャンスの神様」逃さず夢の客室乗務員に
取材は真夏の昼下がり。新潟空港の駐機場には、目の前が真っ白にくらむほどの日差しが照りつけ、強い海風とエンジン音で撮影指示も聞き取れない。そんな中、「さあ行くよ!」と手をたたいてメンバーを鼓舞し、完璧な笑顔を見せる姿に、リーダーとしての在り方を見たように思えた。

日本航空 新潟支店長の安田美智子さんは、長年客室乗務員として勤務し、グループ会社「ZIPAIR TOKYO」の執行役員を経て、この春着任した。
客室乗務員を目指した原点は、幼い頃に見たテレビドラマ「スチュワーデス物語」。制服姿や海外へ行ける仕事に憧れたが、折しも新卒時は就職氷河期。航空会社の採用はなく、一度は夢を諦めざるを得なかったが、数年後、友人からの電話で採用情報が締め切り当日にもたらされ、客室乗務員の夢をかなえた。

「『チャンスの神様は前髪しかない』というたとえを大切にしている。目の前の機会を逃さず、まず挑戦することを心がけてきた。失敗もたくさんしてきたけれど、そこで終わりにせず、方法を変えて試行錯誤すれば、次の挑戦につながる」と話す。
客室から経営の視点へ
ZIPAIRでは、客室と空港旅客業務の両方を担う人財の育成や、採用、事業計画、組織・人財マネジメントなどに携わった。目の前の顧客に対する瞬発力から、社会や業界の変化を見ながら、組織の進む方向を描く構想力へ、視点も変化した。「エクセルも使ったことがなかった」けれど、分からないことを恥ずかしがらずに周囲へ尋ね、一から学ぶ姿勢を大切にしてきた。「知らないことを学べるのはラッキーなこと。周りの人にも恵まれていたと思う」と感謝する。
人財育成にあたり重視していることは、「自分の常識と相手の常識は違う」という認識を持つこと。「まず互いの認識を確認して目線を合わせること。自分の価値観だけで判断せず、同じ景色でも違って見えることを常に意識している」と話す。
今年は日本航空の新潟―大阪(伊丹)線就航60年。新潟から、伊丹をハブに全国へ旅を広げられる玄関口と捉える。「飛行機のほかに鉄道や自動車、船なども組み合わせることで、大阪の先は無限に広がる。京都、出雲、九州、沖縄など、さまざまな旅をかなえることができる」と勧める。
新潟空港に関わる立場として、空港を利用する人がより便利で楽しく、安全に旅立てる環境づくりに取り組む。同時に、空港・新潟駅・佐渡汽船などをつなぎ、新潟を観光や交流の拠点としてさらに発展させることが大きな夢。
千葉県出身。日本酒好きで、以前から新潟を訪れており、移住は「ご褒美」とにっこり。新潟に暮らし始めて、人の温かさや豊かな自然、譲り合いの文化など、新潟ならではの魅力を実感している。「もっともっと新潟を元気にして、みんなが『旅行先どうする?とりあえず新潟に行ってみるか』とか、そんな地域になったらいい」とほほえんだ。
安田美智子さん
【プロフィール】
やすだ・みちこ 千葉県出身。2000年日本航空入社。国際フライト旅客部フライトアテンダントをはじめにキャリアを重ね、ZIPAIR TOKYO執行役員を経て2026年より新潟支店長。新潟に活気をもたらそうと力を注いでいる。



