盛岡藩の城下町として栄え、伝統文化が息づく岩手県盛岡市は、豊かな自然とノスタルジックな街並みが迎えてくれる街。令和5年1月にニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が発表した「2023年に行くべき52カ所」に選ばれたことでも話題になりました。中心市街地に見どころが多く、歩いて観光しやすいのも特長。旅行先としていま注目の盛岡の魅力をご紹介します。
01/歴史
古代から人々が暮らし、江戸時代には盛岡藩主南部氏の下で城下町が整えられ、明治維新後は県都として街づくりが進んだ盛岡。南部氏の居城だった盛岡城の跡地は「盛岡城跡公園」となっていて、精緻に積み上げられた見事な石垣が残っている。春は桜、夏はホタル、秋は紅葉が楽しめる市民の憩いの場で、一番の高台からは盛岡の街や岩手山を一望できる。ことし11月末まで三の丸の石垣を修繕中で、積み直しをしている様子を見られるのは今だけだ。他に、公園から車で5分ほどの距離にある「もりおか町家物語館」では、昔の町家の暮らしを体感できる。
盛岡城跡公園
盛岡城跡公園の石垣。安土桃山時代から築城が始まったが、完成まで長い年月がかかり、時代によって石垣の積み方に変化が見られるのが特徴
住所|岩手県盛岡市内丸1-37[地図]
電話|019-681-0722(NPO法人緑の相談室)
02/文学
盛岡は石川啄木と宮沢賢治が学生時代を過ごしたまち。2人は旧制盛岡中学(現在の盛岡第一高校)の先輩・後輩にあたる。その後賢治は盛岡高等農林学校(岩手大学農学部の前身)にも通った。「もりおか啄木・賢治青春館」には、2人の生い立ち年表や原稿などの資料が展示されている。
啄木は授業を抜け出して盛岡城跡公園によく足を運んでいたそうで、公園内には「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心」の歌碑が建っている。
また、JR盛岡駅近くの材木町には、賢治の童話集「注文の多い料理店」を出版した光原社がある。通りは「いーはとーぶアベニュー材木町」と名付けられ、賢治やその作品をモチーフにした像が並んでいる。
もりおか啄木・賢治青春館
明治時代に建設された旧第九十銀行本店本館を改装して作られた建物
住所|岩手県盛岡市中ノ橋通1-1-25[地図]
電話|019-604-8900
03/建築
レトロな西洋建築の近くに、江戸時代の町家のような商店があるなど、各時代の建物が共存している盛岡。通りを進むと時代を感じる建物が次々と見えてきて、街歩きが楽しい。「岩手銀行赤レンガ館」は、東京駅などを手掛けた建築家、辰野金吾と葛西萬司による設計で、盛岡のランドマークとして親しまれている。
「南昌荘」は盛岡出身の実業家・瀬川安五郎の邸宅として、1885(明治18)年に建てられた。見事な庭は盛岡市の保護庭園に指定されている。磨き上げられた大広間の床に庭の木々が反射する様子は美しく、秋は真っ赤な紅葉が床に映る。
1/岩手銀行赤レンガ館(外観)
2/岩手銀行赤レンガ館(内観)
1911(明治44)年に完成した建物で、国指定の重要文化財になっている
住所|岩手県盛岡市中ノ橋通1-2-20[地図]
電話|019-622-1236
3/南昌荘
明治から令和へと約140年間で所有者が次々と変わる中、各時代で大切に維持管理されてきた
住所|岩手県盛岡市清水町13-46[地図]
電話|019-604-6633
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