2024年7月に「佐渡島の金山」が世界遺産登録されてから1年が経ったことし8月、
高校生・大学生を対象にした探究プロジェクトが開催されました。
仲間と共に佐渡について学び、体験し、考えた時間は、学生たちにとって実りあるものになったようです。
高校生・大学生が
佐渡を知り、考えぬいた4日間
「来タレ、さど推し!」をキャッチフレーズに実施されたこのプロジェクトは、「佐渡島の金山」保存活用実行委員会が、世界遺産「佐渡島の金山」の価値を未来に継承することを目的に、ことし初めて開催されたもの。県内の高校生24名、県外の大学生(新潟県出身者)2名が参加した。学生たちは6つのグループに分かれ、それぞれ遺産を未来に伝えていくためのさまざまな課題を見つけ、解決策を考えていくプロセスを体験した。この探究プロジェクトは、佐渡の未来を考えると同時に、学生たちにとっては主体的に課題を発見し、解決策を考える「探究力」、対話で周囲とコミュニケーションを取りながら仲間と共に取り組む「協働力」、まとめた考えを伝える「提案力」などを育むことができる場でもある。

現地見学では砂金採りや佐渡奉行所跡へ。佐渡奉行所跡では江戸時代の鉱山管理の仕組みや、当時の奉行所の役割などを学んだ
プログラムは事前学習、現地ツアー、提言発表会の全3回。事前学習では元新潟県文化行政課世界遺産登録推進室長の小田由美子氏から世界遺産としての価値や課題を、さどやニッポン代表の相田忠明氏からは伝統文化や産業の保存活動などについての話を聞き、佐渡への理解を深めた。学生は「このような歴史的価値を持つ場所が新潟県にあることが誇りだと感じた」「米作りが盛んだった佐渡だからこそ金山の採掘も安定して行えたことを知った」といった感想を語った。
1泊2日で行われた現地ツアーでは、佐渡観光交流機構の山本尚代氏や佐渡國相川あきんど会の伊藤幹太氏の講演のほか、史跡佐渡金山や砂金採り、地元ガイドの案内で集落散策などを体験。グループワークでは、通過型観光の増加、ガイドの高齢化、島内交通の不便さなど、現地で気付いた課題からテーマ、解決策を探っていった。
個性豊かな提言続々!
自身の成長も実感する経験に
最終日の提言発表会では、各グループが自分たちで設定したテーマごとに課題とその解決策を発表。プロジェクトに関わった講師をはじめ、関係者らが見守る中、若い世代ならではの着眼点とアイデアで、佐渡の活性化や新しい観光の形など、それぞれに個性あふれるプランを提案した(詳しい提言内容はこちらから)。
主催者を代表して新潟県文化課世界遺産室長の滝沢規朗(のりあき)氏は「期待以上の提言でした。これを機に今後も『佐渡島の金山』に関心を持ち、できれば未来への継承に向けた取組に参加してもらえたらうれしいです」とコメント。計4日間にわたって行われたこのプロジェクトは、関係者にとっては若い感性による貴重な意見が聞け、改めて佐渡の魅力を知ってもらえたこと、参加学生にとっては学校や学年の異なる仲間との協同作業が自身の成長になったなど、それぞれに成果を得た機会になったようだ。

9/6(土)に行われた提言発表会の様子。6グループとも独自の観点で佐渡の現状を分析し、特色あるプランを発表。互いの発表に真剣に耳を傾け、積極的に質問する様子も見られた
参加した学生に聞きました
プロジェクトに参加しての感想は?
小池 舞さん(山形大学3年)
小学生以来に佐渡へ行きましたが、歴史や背景を教わり、世界遺産である理由が分かりました。詳しく学んだことでこれまで知らなかった魅力にも気付け、今後も佐渡に関わっていきたいと感じるようになりました。今回のツアーでは回りきれなかった場所もあるので、現地ツアーで行ったところも含めてもう一度佐渡に行きたいです。
後藤 綾真さん(左)・川口 竜喜さん(右)(新発田高校2年)
後藤さん:佐渡金山がいかに貴重な場所であるかが分かって、価値をもっと多くの人に伝えていく方法があるといいのではないかと思いました。そのための活動があれば、今後も関わっていけたらいいなと思います。
川口さん:例えば、大阪城と聞くと周りの見どころも次々思い浮かぶように、佐渡金山も周囲の観光地や地域の知名度も一緒に上げていくことが大事なのかなと思いました。違う学校の人たちと関わることはあまりないので、それもいい経験でした。
「佐渡島の金山」保存活用実行委員会(事務局:新潟県観光文化スポーツ部文化課世界遺産室)
住所|新潟県新潟市中央区新光町4-1[地図]
電話|025-280-5726