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2025.11.02 special

新潟県フィルムコミッション協議会 土田悠さん/作品とまちをつなぐ架け橋に スクリーンの裏側で奔走

シリーズ

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エリア

新潟市

新潟に聖地”を ロケ支援でまちを元気に

「聖地巡礼」といえば、宗教的行動…ではなく、ドラマや映画の撮影地を巡るツアーとしていまやすっかり定着した。映画で見た風景を眺め、お気に入りのシーンに思いをはせられると人気で、県外には海外からの観光客が大挙して押し寄せるスポットもある。

新潟県でも、昨年放送されたNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」や、今年6月に公開された映画『か「」く「」し「」ご「」と「』のほか、最近はネットフリックス作品もたくさん撮影されているという。

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』のロケ地となった新潟商業高前で

そうした県内での撮影を誘致し支援を行うのが、新潟県フィルムコミッション協議会の土田悠さん(44)だ。年間300件ほどあるという依頼は、テレビ番組の一場面から映画まで大小さまざま。制作側からの問い合わせに応え、県内各地の団体の協力を得て回答し、イメージに合えば、制作側の下見を経て、撮影に至る。

「虎に翼」では、春夏秋冬の映像を撮るため、1年以上前から依頼を受けて支援したという。主人公が裁判所長として赴任する三条市内で要望通りのロケ地を見つけようと、三条市の協力を得て懸命に探したがかなわず、撮影は彌彦神社参道にセットを組んで行われた。「時代物の作品ではいつものことだが、綿密な時代考証が行われているので、古い建物が見つかっても、窓枠のサッシが木製以外に改修されているだけでもだめ。映像に対するこだわりの強さを感じた」と話す。


次の機会につなげるために 地域との信頼関係育む

たくさんの問い合わせは、必ずしもすべて身を結ぶわけではない。制作側は全国の団体に投げかけるので、提案した挙句、実らないことが半数以上。「個人的にもがっかりするけど、それよりも施設を貸してもいいよって言ってくれた持ち主や市町村の方への配慮を心がけている」。次の撮影地になる可能性もあるので、引き続き協力を得られるよう気を配る。

事前に募る撮影協力者は、公共施設や店舗はもちろん、昨年からは個人が所有する家屋の登録も始めた。他にも撮影機材のレンタルや弁当仕出しなどの関連業者のほか、ヘアメイクなどの技術スタッフなども募り、撮影をバックアップする。

土田さんは県内のケーブルテレビ局や長岡観光コンベンション協会勤務を経て2019年から現職に。さまざまな形で県内外に新潟をPRし、観光誘客につなげたいと願う。
「有名アニメや、大ヒット映画などに新潟が登場できたらもっと知ってもらえると思うけど、欲張らず、どんな作品でも支援するのが目的。この活動をたくさんの人に知ってもらい、撮影協力者が今以上に増えるといい」とほほ笑んだ。


土田悠さん
【プロフィール】
つちだ・ゆう 長岡市出身。2019年から新潟県フィルムコミッション協議会で撮影サポートを担当。学生の自主制作映画から大作映画まで幅広く支援し県内外に新潟の魅力を伝える。