ダンサー志望からカフェオーナーに
まるでログハウスのような木のぬくもりに包まれた店内に、コーヒーが香り立つ。カウンターで忙しく開店準備をしながら、オーナーバリスタの宮沢直美さん(39)がにこやかに出迎えてくれた。
自然派食品などを扱う、新潟市東区のナチュレ片山内に店を構えて8年。テーマパークダンサーを目指していた宮沢さんが自身のカフェを営むまでの道のりは、持ち前の行動力とさまざまな人の縁によるという。

新潟市東区出身。学生時代からダンスに親しみ、夢をかなえようとレッスンに明け暮れていた20代の頃、ふと試飲したコーヒーが人生を変えた。「もともとはコーヒーが飲めなかったけれど、そのコーヒーがすごくおいしくて。苦いだけじゃないんだって、興味を持ったのがきっかけ」。
その後、新潟駅前にあった大手コーヒーチェーン店でアルバイトするように。「ダンスで人を楽しませることを目指していたけれど、コーヒーでもお客さんを幸せにできるんだなって気付いた」と話す。
勤務先の閉店を機に独立を考え始め、3カ月後には縁あって三条市内のチャレンジショップで初めて自分の店を持った。
独立を決めたとき、まず出向いたのが、新潟市江南区のローストカフェ店主の岩﨑利治さんだ。「面識はなかったけど、まずはあいさつに、と思って。突然だったのに私の思いを聞いてくれ、勉強の機会をくれました」。チャレンジショップオープンまでの1カ月間、岩﨑さんの元に通って技術を学んだ。
チャレンジショップでは半年間営業した後、技術を深めるため、当時新潟三越内にあった鈴木コーヒーで1年間修業をし、再び三条の同店舗で2年間店を営んだ。2017年、岩﨑さんの紹介で故郷東区に現在の店を構えた。

店の正式名称は「LOG COFFEE BREWERS & ESPRESSO STAND by ROAST COFFEE with SignStar Coffee」。また立ち寄ってもらえるよう「ログイン」という意味を込め、独立時に支えてくれた師匠・岩﨑さんの店名と三条時代の店名など、ゆかりある名前を合わせた。岩﨑さんからは、技術のほかにも「心を込めて思いを伝えるように入れること」を教わり、今も強い絆が続いている。

心がけているのは常にワクワクドキドキしてもらえる店であること。人気のラテアートは動物やキャラクター、人物写真など、どんなリクエストにも応える。「絵はとっても下手なんです」と言うが、独立前に、鈴木コーヒーの佐藤俊輔社長が貸してくれたエスプレッソマシンで猛練習したたまもの。「本当に、ありがたいことに皆さまのご縁に助けられて今があると思っている。これからも、一緒に働く7人のスタッフが笑顔でいられるように、みんなで努力していきたい」とほほえんだ。
宮沢直美さん
【プロフィール】
みやざわ・なおみ 新潟市東区出身。大手コーヒーチェーン勤務の後、27歳で三条市内にチャレンジショップ運営。31歳でLOG COFFEEをオープン。1杯のコーヒーで訪れる人の日常に小さな幸せを届けている。




