終活あれこれの2ページ目では、自分が亡くなった後、周囲の人がセレモニーや相続を円滑に進めるためにできる備えを、「家族のため」という視点からお届けします。
家族のために大切なこと
人生最後のセレモニー
亡くなった後、残された人が最初に直面するのは葬儀の準備だ。最後のセレモニーを滞りなく進めてもらうため、あらかじめ三つの意思を残しておきたい。
一つ目は、希望する葬儀の形式だ。家族葬か一般葬か、あるいは見送る人の負担を考えて形式を任せるのかを、簡潔に記しておこう。
二つ目は、契約している葬儀社と菩提寺の連絡先を明記すること。
三つ目は、葬儀に招く人と、参列は求めず訃報のみ伝える人のリストだ。近隣への連絡に備え、町内会長や班長など、知らせる相手の役職・氏名・連絡先も残しておくとよい。
円満な相続のために
昨年の「ココロエ」でも紹介したが、裁判所が関与する相続トラブルの約3件に1件は、遺産総額1,000万円以下という統計がある。
こうしたトラブルを防ぐためにできることは何か。相続と遺言の相談センターの藤井章雄さんは、「何より大切なのは、遺言書を作成し、自分の思いを残すことです」と話す。
自筆の遺言書が見つかった場合、相続人は家庭裁判所に提出し、「検認」の手続きを行う必要がある。これは相続人が遺言書の内容や状態を確認するための手続きで、申立人以外の相続人の出席は任意だ。ただし、相続人には大きな手間と負担がかかり、遺言書を紛失するリスクもある。
遺言書を確実に生かすために
こうした課題を解消するために設けられたのが、「自筆証書遺言書保管制度」だ。自筆の遺言書を法務局に預けて保管してもらう制度で、検認は不要になる。ただし、遺言の内容が有効かどうかまでは確認されない点に注意が必要だ。
藤井さんは「遺言書を作っても、書き方に不備があり無効になっては意味がありません。例えば資産の記載漏れがあると、その財産を誰が相続するかを相続人同士で話し合う必要があります」と注意を促す。
相続手続きを円滑に進めるには、相続が起こったときに遺言書の内容を実行してくれる「遺言執行者」を明記することも重要だ。事情によっては、特定の相続人に法定相続分を超える財産を残したい場合もある。しかし、多くの財産を受け取る相続人自身が遺言執行者になると、疑念や紛争リスクがさらに生じかねない。遺言執行者は、自身に代わって業務を行う代理人を選任できるため、親族同士で感情的になりやすい場面でも、専門家などの第三者が入ることで、冷静に手続きを進められる。
なお現在、遺言書のデジタル化に向けた準備が進んでおり、数年以内の施行が見込まれている。それにより手書きではなくPCなどで作成したテキストデータも遺言書として認められ、オンラインで保管申請できるようになる予定だ。
相談センターの佐藤瞳さんは、「終活として相続の準備をしたいものの、何から始めればよいか分からないという相談もあります。まずは丁寧にお話を伺い、ご本人の思いに寄り添いながら、一緒に遺言書を作ることを心がけています」と話した。
※アイキャッチ写真は、相続と遺言の相談センターと長谷川合同事務所の皆さん
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