「You are HOW you eat」
You are what you eatという言葉がある。
「人間は食べたものでできている」
食べたものから身体が作られ、摂取した栄養素やバランスにより健康も左右されるわけで、食べたものでできているということは当然だけれど、最近になってようやくこの言葉の本質を理解し始めたように感じている。
ここ数年、アーユルヴェーダという、インド・スリランカで5000年前に起源を持つ予防医学の知恵を時折、都合良く取り入れて生活しているのだが、食材がもたらす体調への影響、そして体調がもたらす心への影響を知り、食べるものに対する興味や何を食べるかという意識が一層深まった。
しかし、今回は何を食べるかについて語りたいわけではない。
人が食べたものでできているという言葉に加え、私は「HOW you eat」が大きく影響すると考えている。
何を食べるかはとても重要なことだが、どんな風に、誰と、どんな気持ちで食べたかは何を食べるか以上に大切な要素だと思っている。
要は楽しく、心地良く、美味しく食事をすることがとても大事だ。
くたくたに疲れた日、無理して料理をする必要はない。有難いことに頼れるお惣菜やお弁当が簡単にどこでも手に入る時代だから。
器に移し替えるのさえ面倒な日もあるけれど、大皿に盛り合わせてワンプレートにするだけでも気分が違うものだ。
料理せずに済んだちょっとした余力で、小皿に盛り直して器合わせを愉(たの)しむのも良い。
自分の身体と心の状態を考慮しながら、どうしたら心地良いかを自問し、選択して、楽しく食事をしよう。
それすらしたくない日は、むしろ食べないという選択をすることも一つなのだから、せっかく食べることを選択したのなら、楽しい時間にすることで、心が喜び、身体が喜ぶごはんとなる。
料理するエネルギーをセーブして、器の力を借りて自分を労(ねぎら)う。
活力や心の余裕が出たら、心や身体に合った食材を選び、丁寧に調理してあげたら良い。
身体の調子は心の調子に直結する。
盛り付けるだけでも、食材と丁寧に向き合うことは、自分の身体と心を大切に扱うことと同じだ。
【プロフィール】
高橋香織さん
千葉県出身。スウェーデン等、海外経験も長く、日本の魅力を再認識。食を愉しむ暮らしをインスタグラムで発信している。産まれたての雛の雌雄を判別する初生雛鑑別師の資格を持ち、全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会で2度優勝している。新潟県見附市在住。