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「小さい器を、集めて並べて愛でる」

小さなものを集めて並べて、愛でる嗜好は、どの世代でも、万国共通にある心だと思う。
私も小さい頃から、日常のものがミニサイズになった世界が好きだった。

幼少期はシルバニアファミリーが大好きで、食卓まわりのアイテムに特別惹かれた感覚を今でも憶えている。
小さなお皿や水差しが揃ったディナーセットはちゃんと磁器でできていて、お皿を重ねる時の硬質な音が好きだった。
深緑色の小さなテーブルに、ブルーの花柄模様の小さなお皿をカチャカチャ並べて、小さな小さなカトラリーを傍に揃えて、おままごとを楽しんだ。
そんな心躍る気持ちを大人になっても愉しめるのが豆皿の世界だと思っている。

醤油の受け皿や、薬味を盛るうつわだけではない豆皿の魅力、使い方は無限にあって、小さなうつわを巧みに使う食文化がある日本に偶然にも生まれることができたのはとても幸せなことだ。

三寸(一寸=3cm→9cm)程の小さな皿を一般的に豆皿と呼ぶが、私は形状が皿ではなくても小さな器はみんな「豆皿」にカテゴライズして、細々盛り付け、お盆の上に集わせている。
ワンプレートに盛り付けるにはおかずが少ない時でも、様々な小さな器にちょんと盛り付け、集めてしまうことで見栄え良しの華やぎ御膳が出来上がる。豆皿の縁同士が寂しくなってしまう隙間を彩り埋めてくれる。

使う器の数が多いことで「洗い物が面倒ではないですか?」とよく聞かれる。小さな器を並べることと、大きい器を数枚使うこと、洗う面積はそう変わらないような気がする。大きい器でも小さい器でも、数が多くても少なくても、私にとって洗い物は、実に面倒な作業であることに変わりない。ならば、洗っている時すら愛おしい小さな器たちを使いたい。

お盆の上や大きな板皿に並べてみたり、重箱に詰め込んでみたり、普段のなにげないおかずでも豆皿に並んだ様は眼福で、蓋を開けた時の高揚感は、家の中でも非日常が味わえる、自分への最高のおもてなし御膳となる。
場所を取らない小さな器たちは、器収集の手始めにもおすすめだ。


【プロフィール】
高橋香織さん

千葉県出身。スウェーデン等、海外経験も長く、日本の魅力を再認識。食を愉しむ暮らしをインスタグラムで発信している。産まれたての雛の雌雄を判別する初生雛鑑別師の資格を持ち、全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会で2度優勝している。新潟県見附市在住。


◆12月に初の書籍『私をもてなす器』を出版
https://www.instagram.com/bono1225/p/DBvJKpsz4BN/?img_index=1