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2025.04.06 visit

【特集】新潟・十日町で着物体験/全国に誇る着物のまち

エリア

中越

春の新潟県十日町市は着物に関するイベントがめじろ押し。
十日町の織物は、雪国だからこそ生まれ、人々の情熱で受け継がれてきた宝物です。
全国でもまれな産地といわれる十日町。
その理由を探りに、着物のまちを訪れてみませんか。


「織り」の十日町明石ちぢみ
「染め」の十日町友禅

織物の全国屈指の生産地として知られる十日町。代表的なのが、セミの羽に例えられるほど薄い十日町明石ちぢみ。そして振袖や訪問着など華やかな柄が印象的な十日町友禅だ。十日町明石ちぢみは、強く撚(よ)った絹糸を模様に合わせて染めて織り上げるもの。そして十日町友禅は絹の白生地に型や手描きで模様を描いて染める。この織りと染めの両方を手掛けている産地は、全国でも珍しいそうだ。さらに、十日町織物工業協同組合の越村伸弥事務局長は「京や加賀の友禅は工程ごとに分業していますが、十日町は一つの会社で全工程を行っているのも特徴です。そのため古典柄を守っていたり、モダンなデザインを作っていたりと、メーカーごとに個性が際立っています」と話す。手描き友禅など、職人による手作業の伝統を守り続けているのも、産地として誇れるところだ。

現在、十日町友禅を手掛けているのは市内9社。型染めや手描きで華やかな柄が生み出される。写真は十日町きものフェスタ2024で経済産業大臣賞を受賞した吉澤織物の手描き友禅振袖

十日町明石ちぢみは、八丁撚糸機(はっちょうねんしき)という機械によって強い撚りをかけた絹糸を使い、織り上げる。かざせば透けるほどの繊細な織物で、夏用の着物として人気が高い

 


時代とともに麻から絹へ
流行をつくってきた産地

上質な水と適度な湿気がある環境が織物に向いていて、人々が冬の仕事として糸を紡ぎ、機(はた)織りをしてきた十日町。越村事務局長は「実は時代に合わせて変革し続けてきた産地なのです」とも教えてくれた。縄文時代のアンギン織から始まり、やがて麻織物が盛んに。江戸時代には越後縮(ちぢみ)が武士の正装に使われ、幕府の御用品となった。江戸末期に需要が減ると、絹織物へ転換。兵庫県で織られていた明石ちぢみが、京都・西陣を経て十日町に伝わったのは明治20年ごろといわれている。昭和の時代には十日町発信のマジョリカお召(めし)や、卒業式などで着られた黒絵羽織が一世を風靡(ふうび)。やがて、和装を着る機会の主流が成人式や冠婚葬祭になると、友禅染めに進出した。近年は着物のメンテナンスまで手掛け、総合的に着物を支える産地になっている。

4月に開催される「十日町きものフェスタ」は、その年の新作が一堂に会するイベントで、今年は100周年の記念イヤー。一般来場者も審査に加わることができるので、ぜひ足を運んでみては。

竹久夢二が手掛けた十日町明石ちぢみの宣伝画。十日町の技術によって縮まないものになったことをアピールするキャッチフレーズ「ちぢまぬ明石」の文字が入っている

市内全メーカーの新作が並ぶ「十日町きものフェスタ」。来場者によって審査投票が行われる


求評会100周年記念
十日町きものフェスタ2025
◆開催日時
 審査会:4/7(月)~11(金) 9:00~17:00(11日は15:00まで)
 入賞発表・一般公開:4/12(土) 9:00~15:00
◆会場/
 クロステン十日町
 新潟県十日町市本町六-1-71-26[地図]
◆問い合わせ/
 新潟県十日町織物工業協同組合
 025-757-9111

 

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