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2025.06.01 special

【特集】自分らしい暮らし / 日本語教師 徳本久美子さん

エリア

新潟市

「自分らしく生きている人はとても魅力的。でも私の自分らしさって何だろう?」。
ふと、考えることはありませんか。さまざまな節目を経験しながら、いま新潟で輝いている女性に話を伺いました。


 

来日して働く若者たちを日本語教師として支える

徳本 久美子(とくもと くみこ) さん
日本語教師

PROFILE
新潟市出身。日本道路公団新潟建設局を早期退職後、テレビ・ラジオのアナウンス、イベント・式典などの司会を務める。2021年に日本語教師の資格を取得し、無償で日本語教室を開いている。


バングラデシュやネパールで直接見た世界が価値観を変えた

徳本久美子さんは日本語教師として、バングラデシュやインドネシア、ベトナムなどから日本へ働きに来ている若者に無償で日本語を教えている。新潟市にある自宅での対面教室のほか、オンラインでも1日2~3人に対応する毎日だ。「家族のために日本に来て、一生懸命に頑張っている。彼らを輝かせてあげたいんです」

20年前、日本道路公団(当時)の民営化のタイミングで早期退職した徳本さんは、バックパッカーとして海外を回った。訪れた国は計51カ国。バングラデシュでは、そこに生きる子どもたちの貧しさに直接触れた。同時に純粋さや一生懸命さに、人としての魅力も感じたという。さらにネパールの空港でも衝撃を受けた。「長い待機列があって、横では家族が泣いていて、何だろうと思ったら海外へ出稼ぎに行く人たちだったんですね。そして、その半分が日本に向かっていました。その様子を見て、胸が締め付けられて、自分にできることは何だろうと思った時に日本語教師が浮かびました」。新潟の専門学校で学び、4年前に日本語教師資格を取得。すぐさまベトナム人が経営するカフェに行き、「日本語を教わりたい人はいませんか?」と聞いて回ったという。

自宅での日本語教室の様子。左のトゥリヌルナエナーさん(インドネシア出身)は介護福祉士の資格取得に向けて勉強中。右側の3人はバングラデシュから来たロビウルさん、ジョイさん、マハブーブさん

主役の彼らを輝かせたい。
人生でいまが一番充実している

授業料を取らない理由は「現地を見たから」と徳本さん。「彼らは15万円のお給料から10万円を仕送りします。それで一族が1カ月生活できる。その事実を現地で見て、授業料はもらわないと決めました」

昨年とことしはバングラデシュに1カ月ずつ滞在し、日本語学校や政府関連専門学校で直接指導も行った。そうするうちに口コミが広まり、いまやオンラインで日本中、世界中に生徒がいる。国内にいる生徒にはできる限り会いに行く。教えるのは言葉だけでなく、身だしなみやマナーも。彼らが日本に早くなじめるように、との思いからだ。

若い頃から「海は見ていないで飛び込め」がモットーではあったが、年齢を重ねたことでさらに思い切って動けるようになったと話す。「若い頃はなんとなく小さくまとまろうとして、ストップがかかっていた部分はありましたし、過去には挫折も波もありました。いまが一番、人生が充実していると思います」。今後も定期的に海外訪問を続けるのが目標で、「何より大切なのは体力」とトレーニングも始めた。「年齢を重ねると子育てや仕事、親の介護も落ち着いて、私は何をしたらいいのかと迷う人も多いと思うんです。でも、やりたいこと、できることはたくさんあるよ、と伝えたいですね」

バングラデシュの学校での日本語指導の様子

「日本人が自分たちの村に来た、ということが子どもたちにとって強く印象に残るようです」と徳本さん

 

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