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2025.06.01 special

【特集】自分らしい暮らし / 木彫作家・絵画造形講師 手塚千晴さん

エリア

新潟市

「自分らしく生きている人はとても魅力的。でも私の自分らしさって何だろう?」。
ふと、考えることはありませんか。さまざまな節目を経験しながら、いま新潟で輝いている女性に話を伺いました。


 

10年のブランクを経て創作再開。
やりたかったことに向き合う日々

手塚 千晴(てづか ちはる) さん
木彫作家・絵画造形講師

PROFILE
新潟県阿賀野市出身。新潟大学教育学部・大学院教育学研究科修了。東京の材木会社で7年間勤務後、第2子出産のタイミングで新潟に家族で移住。現在は子ども向け絵画造形教室の講師なども務めている。ことし5月、第79回新潟県美術展覧会・彫刻部門で最高賞の県展賞受賞。

 


友人と共に個展に挑戦。
そこから全てが動き出した

新潟市で創作活動を行う木彫(もくちょう)作家の手塚千晴さん(38)。その作品は新潟の空や田んぼといった風景や季節をイメージして生み出されている。「就職して東京に住んでいた頃から新潟の風景が恋しくて。それもあって、今のところは新潟をテーマにしたものだけを作っています」

大学で木彫に出合い、6年間学んだが、その後、就職、結婚、出産と続く中で創作からは離れていた手塚さん。子育てしやすい環境を求めて新潟にUターンし、大学時代の同級生と再会したことで、再び木に向かうことになった。「友達も創作から離れた生活だったのですが、このまま感覚も衰えて死ぬのかな、なんて話をした時に、じゃあまずは3人で個展をやろうよ、ということになって。1人では始める気持ちにはならなかったと思うのですが、一緒にやろうと言ってくれた仲間の存在が背中を押してくれました」。2020年に新潟市の医学町ビルで行った三人展は、その後も定期的に開催。ことしの秋で7回目となる。「学生の頃は、自分の作品が評価されるのが怖かったのですが、アラフォーになった自分たちは怖いものなしで。友人は個人でも個展を開催したり、他のグループ展に参加したりと積極的で、それも刺激になりますね。ここに来て、学生時代にできなかったことを少しずつ回収しているような気持ちです」

「自分の気持ちを昇華させるために彫るという部分が大きいですね」と手塚さん。次回の三人展は9/19(金)~10/5(日)に新潟県燕市のギャラリーSAI(さい)で開催予定

「曇天(どんてん)」(2022年)。なかなか晴れない新潟の空をイメージして山脈と雲を彫り出した作品

「日雨(にちう)」(2023年)。しずくの波紋をツバキの年輪に重ねた、初夏をイメージした作品

夫と義母からも受けた刺激
子ども向け絵画造形教室開講へ

家族からも刺激を受けた。新潟へ移住するタイミングで、夫は独立開業。また、義母も大阪から新潟へ移住し、ずっとやってみたかったという定食屋を開業した。「義母はバイタリティーのある人で、3年前に病気で倒れるまで1人で店を切り盛りしていました。夫も起業したし、2人が頑張っているのを見て、“私も何かやらないと”という気持ちにはなっていましたね」

義母を1年の看病の後に見送り、子どもたちも少しずつ手がかからなくなってきた。そうした中で、三人展をきっかけに子どもに絵を教えてほしいと依頼されることがあり、仕事にするのもいいと考えて絵画造形教室の講師の職に。さらに、ことし4月からは個人で子ども向け造形教室もスタートした。「やっといま、やりたかったことを少しずつ始めている。そんな流れの中にいる感じです。本当に三人展の第一歩が大事だったし、木彫を続けてこられてよかったなと思っています」

ことし4月から始めた子ども向け造形教室。4歳~小学生を対象とし、楽しみながらお絵描きや工作などを行う

 

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