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2025.06.01 special

【特集】自分らしい暮らし / マスヤ味方店 店長 栗林礼奈さん

エリア

新潟市

「自分らしく生きている人はとても魅力的。でも私の自分らしさって何だろう?」。
ふと、考えることはありませんか。さまざまな節目を経験しながら、いま新潟で輝いている女性に話を伺いました。


 

本当の自分を生きることが一番の幸せだと気付いた

栗林 礼奈(くりばやし れな) さん
マスヤ味方店 店長

PROFILE
新潟市出身。立命館大学を卒業後、東京の求人・人材紹介サービス会社やIT関連会社で営業業務を経験。2020年に新潟へ戻り、家業のスーパー・マスヤで働き始める。中小企業庁主催の「アトツギ甲子園」にことし新潟県から初出場し、決勝に進出した。

 


想像と違った東京での社会人生活。
スーパー勤務数日で「天職かも」

新潟市南区、旧味方村にあるローカルスーパーのマスヤ味方店には、地元農家の新鮮野菜をはじめ全国から取り寄せたえりすぐりの食品が並ぶ。赤字続きだったこの店を、県外からも客が訪れる人気スーパーへと回復させたのが、店長を務める栗林礼奈さん(34)だ。

マスヤは栗林さんの曽祖父が創業。味方店は両親が経営し、幼い栗林さんの遊び場でもあった。「祖父の孫は8人いたのですが、小学生の頃から祖父は私に店を継がせると言っていて。私は勝手に自分の将来を決められた感じが嫌で、逃げ道として京都の大学に進学し、東京で会社員になりました」

子どもの頃から物質主義で、お金があってキラキラした生活ができれば幸せになれると思っていたが、実際にその状況に到達してみると違った。「給料で選んだ仕事は得意分野ではなかったこともあり、自分を生かせていない虚無感に襲われて、それこそ自分を生きられていないと思いました。お金を稼ぐことは二の次で、本当の自分を生きることが一番幸せなんだと、26歳で気付き始めましたね」。自分らしく働く場を見つけようと、ワーキングホリデーに行こうとした矢先、新型ウイルス禍に。仕方なく実家に戻ってスーパーを手伝うと、数日で「天職だ」と確信したそうだ。

売り場に出ると、すぐにお客さまとの会話が弾む。仕入れる商品は、自ら製造元に足を運んで話を聞いてくることもしばしばで、説明にも熱がこもる

お薦めポイントは手書きポップで伝える。熱い押しコメントに興味がそそられる

商品は全国からえりすぐりをそろえ、県内ではマスヤだけが扱っているものもある。SNSでの紹介を見たお客さんが遠方からも訪れる

夢の器がその人の器
想像できないことは実現もしない

「前職は無理やり頑張っていた感じですが、ここでは泉のようにアイデアが湧いてくるんです」。栗林さんは経営を立て直すため、駐車場が満車になる、県外からもお客さまが来る、テレビの取材が来る、といった夢を膨らませた。実現するためにいま何をするべきかを逆算して仕事に取り組み、数年でそれらを実現させた。背景には受験での成功体験があるという。「高校時代は成績が最下位で、志望校に受かるには偏差値をかなり上げないといけなかったんです。成績は階段状に上がるのではなくて、勉強し続けると、あるとき急に上がる。それはビジネスも同じなんです」。努力してもしばらくは低迷が続いたが、急にブレイクするタイミングが来た。地元で存在感を放つ店となり、周囲からの応援が日増しに強くなっていくのを感じた。

さらに夢をかなえるには熱量と努力、そして妄想力が大事、と栗林さん。「大谷翔平さんが子どもの頃からメジャーを目指していたように、想像することが大切。夢の器がその人の器になると思うんです。想像できないことは実現できないですから」

次なる夢は米カリフォルニアにマスヤの支店を出すこと。ことし2月に行われた全国の後継者が新規事業のアイデアを競う大会「アトツギ甲子園」にも、その夢を掲げて出場した。自分らしさを手に入れて行く道は、さらに輝きを増していくことだろう。

アトツギ甲子園では4分間でビジネスプランをプレゼンテーション。出場をきっかけに人脈が広がり、講演などさまざまな依頼が増えたという

栗林さんが手にしているのはお店のオリジナルショッピングバッグ。独自の魅力発信とファンづくりを大切にしている

 

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