今日も明日も、もっと輝く assh-アッシュ-

多様な価値観でこれからを楽しむ おとな女性へ贈るウェブマガジン assh-アッシュ-

2024.04.07 special

うつわギャラリー「ヒメミズキ」 小笹教恵さん  縄文以来脈々と 焼き物の奥深さ 様々な角度から

シリーズ

assh表紙の人

エリア

新潟市

いい器は料理も気持ちも引き立てる

白山神社(新潟市中央区)の門前町、上古町商店街を行くと、器専門のギャラリー「ヒメミズキ」に行き当たる。さりげない店構えの店内は、白い壁を背景に落ち着いた色合いの棚が置かれ、店主の小笹教恵さん(42)が季節に合わせて厳選した食器が並ぶ。大ぶりの花器に生けられた菜の花やヒメミズキの枝が早春の趣を添える。

店頭に並ぶ食器は、県内外で活躍する、陶芸家の手による作品。まだ寒さの残っていた取材日には、素朴なぬくもりを感じさせる器が多く並び、淡い色合いの箸置きが春の訪れを告げていた。「日本には全国各地に焼き物の産地があり、古い窯も残っている。縄文時代から続く焼き物の歴史は日本ならではの文化」と小笹さんは話す。

小笹さんは幼稚園教諭、インテリアコーディネーターを経て、2014年に店を構えた。きっかけは、前職で勤めた新潟市内のインテリアショップだった。従業員の向上心を重んじ、独立を促す社風。「転職して間もない頃、『将来何をやりたいか』と社長に聞かれて。『5年で独立する』と言ってしまったんです」と振り返る。それからは、経営計画の進捗(しんちょく)を発表させられたり、イベント企画を任されたりと、経営のノウハウをたたき込まれたという。「本当によくしていただいた」と感謝する。

学び多い日々でありながらも、仕事に忙殺される毎日。家には寝に帰るだけの5年間を支えたのは、もともと好きで集めていた食器がくれる癒やしだった。「買ってきたお総菜や簡単な料理でも、かわいいお皿に盛りつければ前向きな気持ちになれた」。器の力に魅せられ、食器を扱う店を開こうと決めた。

興味は尽きず勉強の毎日

年間約10件の企画展のほか、料理家らの協力を得て、不定期で料理教室も開く。「店で扱う器にプロが盛りつけるとどうなるんだろうと、私自身も教わりたくて。ただ個展をやるだけでなく、通ってくださるお客様を退屈させずにいろんな提案をしたい」と意欲は尽きない。

最近は焼き物の材料となる土について学ぶことに夢中。土の成り立ちについて、「土が1㌢できるまでに100年から千年かかる。それを原料に作られていると思うと貴重ですよね」と器を手に、目を輝かせながら語る。ほかにも、明治時代には県内に約80カ所の窯があったことや、徳川家が所有するベトナム製の茶碗など、焼き物をめぐる歴史の話にずっと耳を傾けていたくなる。

6月にはオープンして10周年を迎える。「これからも、焼き物の面白さ、奥深さをいろんな角度から伝えていきたい。10年目の課題です」とにこやかに語った。


小笹教恵さん
【プロフィール】
おざさ・のりえ 1982年、阿賀町出身。幼稚園教諭、インテリアコーディネーターを経て、2014年にうつわギャラリー「ヒメミズキ」をオープン。全国各地の陶芸家作品を通して暮らしを彩る器の魅力を伝えている。
ヒメミズキ https://himemizuki.com/