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2025.10.13 special

変わる世界で変わらぬもの 真心で奏でる音楽の道

シリーズ

TOKUのMUSIC LIFE

皆さま、いかがお過ごしですか?

7回目の「assh」コラムです。

今回は初秋の日本、東北をツアーしている旅の途中で書いています。

8/11に開いた、僕の地元・三条市の中央公民館でのTOKU & Niigata project」お披露目コンサートは盛況に終わりました。

久しぶりの地元での凱旋コンサートへのたくさんのお越し、メンバーを代表して心より感謝いたします!

 

さて、東北ツアーは「TOKU & Niigata project」にも参加してくれている新潟の若手トリオ、佐藤アルト(p), 宮村日向(b), 伊佐悠(ds) 2022年から3年連続で行ってきた、僕にとって彼らとツアーする大切な時間です。

そして今年は、アルバム・リリース記念ツアーと銘打って人数も4人から6人へ、ギターの塩原信人、クラリネットの伊佐瞳が加わり、アルバムのサウンドをライヴで表現しながら新たにカバーする曲もあるという、音楽の中身の濃いツアーとなっています。

盛岡・すぺいん倶楽部での終演後にメンバーと

 

いろんなことに挑戦できる仲間が地元・新潟にいるのは嬉しいことです。
以前にも書いたと思いますが、ツアー中は一緒に音を出す時間がいつもよりあるので、いろんなことをやってみようという気持ちにさせてくれます。

そして、行く先々にあるいろんな食べ物屋さんや久しぶりに会う友人など、楽しみはさまざま。

 

今回は、秋田から始まり盛岡、青森、仙台という4日間の行程です。

初秋の東北は気持ちの良い気温、そしていつも美味しい空気が流れていて、高速道路で移動中に休憩に立ち寄るサービスエリアに着く度に何度も深呼吸したくなるくらいです。空気が美味しいって素晴らしいですね。

そして美味しいと言えば食べ物です。

それぞれの土地の名物に舌鼓を打つのはツアーの醍醐味のひとつ。

秋田ではきりたんぽ、海産物、盛岡では冷麺、青森ではやはり海産物、仙台は牛タン、今回もちゃんとそれぞれを楽しんできました(笑)。

青森・階上町「東門」

青森では階上町にある「東門」という、昔ながらの日本家屋でお蕎麦とカレーが食べられるお店へ。こちらは時々ジャズ・ライヴも行うお店で、毎年演奏しています。ここのオーナーさんは、近隣の神社を含む広い土地のオーナーでもあり、この神社が素晴らしいんです。鳥居をくぐって本殿に向かって歩く途中の、なんとも神聖なこと。。

 

潮山神社


 
「潮山神社」というこの神社、今までいろんな神社を訪れましたが、ここでしか感じられない神聖さがあります。近くまで行かれた方、訪れてみることをお勧めします。

そして「東門」の中といえば、木造の空間が提供してくれる音響は素晴らしく、そしてステージにも神聖な空気が流れていて、ここでの演奏はいつも一味違うものになります。

僕は基本的にどこで演奏する時も心持ちは変わらないのですが、どうしてもその場の持つ空気にいい意味で左右されることがあります。そういう時はその空気に身をまかせて演奏を楽しみます。そうすると空気と仲良くなれるんです。そして演奏が、会うと嬉しい友達みたいになるんです。変な言い方ですが(笑)そんな感じがするんです。

今回は夕暮れ前に着くことができたので、潮山神社をゆっくりと参拝することができました。

その時に感じた神聖な気持ちはそのままステージに運ばれ、まるで何かに動かされているように演奏しました。

僕はいつも同じように、音楽に自分を演奏してもらうように心を無にしてステージに立つのですが、ここまで神聖な気持ちになった後だと演奏もいつもにも増して強く自然に導かれていくようになるのです。だからこそこの夜はより神聖な気持ちになれたのだと思います。それは同じく参拝したメンバーもそうだったのだと思います。

 

八戸市に宿泊して、次の日の仙台の会場に向かう前に、大きな卸売り市場のそばにある海産物センターの回転寿司屋さんでお寿司を堪能しました。新鮮で美味しいネタ、でもとてもリーズナブルな値段、ありがたく頂きました。

 

日本の大都市のひとつ、仙台市ではいつも友人がライヴに来てくれます。同じミュージシャン・トランペッターの、もう知り合って長くなる友人が今回も来てくれて、1年ぶりの再会を楽しみました。またDJ&トラックメーカーの友人・Mitsu The Beats くんも忙しい中駆け付けてくれての久しぶりの再会でした。

 

世界中どこでも同じですが、ミュージシャンがライヴを聞きに来てくれるのは嬉しいことです。アーティストとして、同じミュージシャンに興味を持ってもらえるというのは大事なことだと思っています。自分が何をやってきたか、今やっていることに自信を持って取り組んでいるか、音楽と真摯に向き合えているかを1番分かってくれるのは同じミュージシャンだと思うからです。自分はいつもそうありたい、だからこそ興味を持ってもらえるんだと思います。

そしてそれは足を運んでくれるお客様にも伝わります。残念ながら全てのアーティストがそうではないという実態も見てきましたが、人間として、アーティストとして成長することがよりポピュラリティーを得るのが自然であり、そうあるべきだと信じています。 

 

これは何も音楽に限ったことではありません。

全ての物事に当てはまることだと思います。

生身の人間が人生を賭け、自分のやるべきことに向き合って時間を使い、そしてその人だけのスキルを身につける、個性を見つけ出す、これがどんなに今ないがしろにされ、同時にどんなに大切なことか、これからの時代を生き抜くにあたりとても重要なことになっていきます。

 

今、物事がものすごい速さで変わっていっています。僕たち人間の生活もどんどん変わっていくでしょう。これは世界中で起きていることで、僕が住むパリも同じ、訪れるヨーロッパの国々でも同じです。

先月の初旬にローマに演奏に行った日に、ランチを食べに行ったお店で働いていた若い女性に出会ったのですが、彼女が友人を連れてコンサートに来てくれました。終演後にしばらく彼らと話していたのですが、彼らは若い世代といえど今起こっていることをちゃんと認識していて、それは身のある会話を楽しみました。

彼らは皆アーティスティックな仕事に就きたいと思っている人たちで、どんな時代がやってくるかをとても冷静に捉えています。なんだか頼もしいなあと感じさせられました。

ローマで出会った若者たちとの楽しい会話の後で

もちろん日本にもこういう子がいると思いますが、もっともっと増えていったらどんなふうに変わるんだろうと思う時があります。

僕も微力ながら音楽を通じて何かを伝えていけるように頑張りたいと改めて強く感じました。

 

また次回のコラムをお楽しみに!

 

Peace,

TOKU