新潟市では2022年4月に「新潟市子ども条例」を施行し、2024年8月にはこどもの気持ちに寄り添う場として、「子どもの権利相談室 こころのレスキュー隊」を開設。小さな違和感や不安にも耳を傾け、こどもの最善の利益を守るために活動しています。現場で大切にしている思いや取り組みを、救済委員の小林智(たく)さんに伺いました。

新潟市子どもの権利相談室
子どもの権利救済委員 小林 智さん
新潟青陵大学福祉心理子ども学部臨床心理学科 准教授。家族心理学を専門とし、相談室開設当初から救済委員として活動。こどもの声を第一に、相談者の家族一人一人との対話を大切にしている。
見えない心の奥の声を対話でひらく相談室
新潟市中央区にある万代市民会館4階に、「子どもの権利相談室 こころのレスキュー隊」が開設され、1年間で約70件のご相談が寄せられました。対象は新潟市内に在住、または市内に通学や通勤をする18歳までのこどもとその保護者です。相談は電話・メール・Webの相談フォーム・手紙などで受け付けています。こどもからの相談はメールやWeb経由が多いですが、来所しての対面相談も受け付けています。
相談のきっかけは人それぞれです。具体的な問題を抱えている場合もあれば、漠然とした不安や違和感から始まることもあります。まずは相談員が話を伺い、内容に応じて救済委員の私や弁護士の先生が対応します。
私たちが常に立ち返るのは「こどもの最善の利益を追求する」という視点です。保護者もこどもも一人の人間であり、その気持ちは必ずしも一致するわけではありません。だからこそ、こどもの意向を丁寧に確かめながら寄り添う姿勢を大切にしています。
安心できる秘密厳守と第三の立場
相談を希望するこどもたちの多くは「秘密を守ってほしい」という思いを持っています。この相談室では、相談内容が本人の許可なく家族や学校に伝えられることはありません。また、「言いたくないことは言わなくていいよ」と声をかけ、自分のペースで話せる時間を大切にしています。実際に開設してみて、秘密が守られる安心感こそが、この相談室の大きな存在意義だと実感しています。
こどもを取り巻く問題の多くは、家庭や学校という身近な場から生まれますが、親、こども、先生の思いが絡み合い、複雑化して行き詰まることは少なくありません。そんなときに必要なのは、当事者だけでは気付きにくい“第三者の視点”です。私たちは、「こどもにとって本当に大切なことは何か」をこどもと一緒に改めて問い直し、一緒に考える役割を担っています。状況に応じて関係機関の垣根を越えやすいのも、この相談室ならではの強みです。柔軟な立場だからこそ、それぞれの声を結び付け、こどもにとっての“心の安全”を守りながら解決の道を探していきます。
ささいなことでも気軽に相談を
こどもの権利の中で、私自身が特に大切だと思うのは「新潟市子ども条例」にある「身近なおとなに思いや願いを受けとめてもらえる権利」です。言葉にならない気持ちや「こんなこと言って変かな?」という思いは、とどめておくと心の奥に隠れていってしまうものです。相談を通して「こどもの思いを初めて知った」「言葉から成長やたくましさを感じた」と気付く保護者も多く見られます。こどもにとっても、日常の中で抑えてしまいがちな気持ちを言葉にして伝えることは、“自分と向き合う時間”となります。困り事がはっきりしていなくても、「なんとなくモヤモヤする気持ち」から相談できる場所です。小さな疑問や違和感でも、どうぞ気軽にご相談ください。
12月には初めてフォーラムを開催します。こどもが意見を表明できるプログラムもあり、おとなにとってはこどもの考えに触れられる貴重な機会です。効率を優先しがちな日常生活の中で、こどもの声に耳を澄ます時間を持つことは、親子の関わり方を改めて見つめ直すきっかけになるはずですので、ぜひご参加ください。

相談方法
電話|
[子ども専用]0120-175-255(いーなこどもにゴーゴー)
[おとな専用]025-288-1752(いーなこどもに)
メール|kokousa@city.niigata.lg.jp
手紙・面談|
〒950-0082 新潟県新潟市中央区東万代町9-1 万代市民会館4階
こころのレスキュー隊
Web|相談専用フォーム
※学校で使用しているメールアドレスには返信できませんので、個人のメールアドレスを使用してください
相談時間
月・火・木・金曜 13:00~19:00
土曜 10:00~16:00
面談希望の場合は、月・火・木・金曜は当日17:30まで、土曜は当日15:00までにご連絡ください
休室日
水・日・祝日・第4月曜(祝日の場合はその翌日)
年末年始(12/29~1/3)
新潟市子ども条例フォーラム
当たり前だけど意外と知らない「子どもの権利」
こどももおとなも楽しく学ぼう!
新潟市は今年度、「子ども条例フォーラム」を初開催します。小中高生の意見発表やディスカッションを通じて、こどももおとなも一緒に「子どもの権利」について考えてみませんか。専門学校生による体験ブースや人気ダンスチーム「CHIBI UNITY(チビユニティ)」のステージも必見です。

■日時|12/6(土)
・フォーラム 13:30~16:00(開場13:00)
・ブース 10:00~14:00
■会場|新潟市万代市民会館
新潟県新潟市中央区東万代町9-1[地図]
■定員|150名
※11/26(水)事前受付締切
応募多数の場合は抽選となります
■詳細・申し込み|https://www.city.niigata.lg.jp/kosodate/ninshin/info/jyoureiforum.html
■問い合わせ|新潟市こども未来部こども政策課
025-226-1193(土日祝除く8:30~17:30)
子ども条例フォーラム
会場:6階多目的ホール
■新潟市子ども条例、子どもの権利相談室 こころのレスキュー隊の紹介
■小学生による意見発表 テーマ:私たちが考える「子どもの権利」
■中・高校生 意見発表&ディスカッション
テーマ
・「子どもの権利」は守られているか。
もっと権利を大切にしていくためにはどうしたらよいか。
・友だちと円滑な関係を築くためには。
■CHIBI UNITYダンス&トーク(レッスンあり!)
学び体験イベントブース
会場:4階研修室
■ヘアアレンジ
■ネイルチップ制作体験
■イラスト描き方&イラストを使ったストラップ作り体験
■学生作品ゲーム体験
■その他 風船配布、塗り絵、缶バッチ作り など
※フォーラムの事前申込時にブースの事前予約ができます。
当日受付も可能です

新潟市こども未来部こども政策課
住所|新潟県新潟市中央区学校町通1-602-1[地図]
電話|025-226-1193



