ふるさとににぎわいを 古民家リノベで目標へ一歩
かつて職人の町として栄えた城下町高田(新潟県上越市)の大町地域。重厚な存在感を放つ雁木通りには、紋章店や染め物店といった昔ながらの看板が立ち並び、まるで別世界に迷い込んだよう。路地裏に入ると、一転してビビッドピンクのネコの看板を下げたポップなクレープ店「HelloMAIDO(ハローまいど)」が現れる。

店主の滝本なつきさん(41)は、東京でIT関連企業の会社員として働く傍ら、故郷の上越市に昨年、クレープ店をオープンさせた。店を始めた直接の動機は「上越と関わりを持ち、何か形にしたかった」ことにあった。
もともと建物のリノベーションが好きで、都内でもマンションの一室を2件手がけるほど。趣味の延長で物件を探していたところ、不動産情報サイトで上越市に立つ築約60年の民家と出合ったことが、出店のきっかけとなった。
東京で食べた、生地を味わう「シュガーバタークレープ」に感動したことから、クレープ店への挑戦を決めた。「昔から、地元に何か貢献したかったけれど、今まで何もできていなかった。いろいろなタイミングが合ったのが今だった」と話す。
商品開発には1年をかけて試行錯誤を重ねた。クレープ生地には上越産米粉を使い、アーモンドプードルを加えることで、外はパリッと、中はしっとりもちもちとした独特の食感を生み出した。素材はできる限り地元産にこだわり、コーヒーやクラフトビールも地元上越地域のものを選んでいる。
店舗は、テーマカラーのピンクをアクセントにしたタイルカウンターなど、レトロポップな雰囲気。梁や柱に使われた木や、すりガラスに古民家の風情を残し、親しみやすくどこか落ち着く空間に仕上げた。

滝本さんは高校卒業後、ファッションデザイナーを夢見て都内の服飾系専門学校に進学。アパレル系企業、PR会社を経て、現在勤めるIT関連企業でマーケティングに携わっている。「デザイナー志望だったから、クリエイティブに関わることが好き。仕事で達成できなかったことをここでやりたい気持ちがある」とほほえむ。
現在はスタッフ4人を雇用し、2週間ごとに都内と上越を行き来する。
出店はゴールではなく、街を知ってもらうための「きっかけ」。将来的には東京での出店やポップアップを通じて上越の魅力を発信し、人の流れを生み出したいと考えている。町家を活用した店の店主らと連携し、まち歩きイベントを企画するなど、「江戸時代から残る城下町の風情を、歩いて楽しめる街」と実感してもらうことが、今後の夢だ。

「もっと上越市の知名度を上げたいし、気軽に来て楽しい街だとたくさんの人に知ってもらいたい。店をきっかけに、街をにぎやかにできたらいい」と目を輝かせた。
滝本なつきさん
【プロフィール】
たきもと・なつき 新潟県上越市出身。都内アパレル企業やPR会社を経てIT関連企業勤務。2025年12月に上越市高田にクレープ店「HelloMAIDO」をオープン。2拠点生活をしながら、誰もが気軽に立ち寄れる店を通して地域に新しい風を吹き込もうと奮闘している。




