アウトドアの達人が、自然豊かな新潟県の楽しみ方を紹介するリレーコラム。今月は柏崎・夢の森公園(柏崎市)の中村拓郎さんが、グリーンウッドワークの魅力と楽しみ方をレクチャーします。
雪解けが進む3月の里山。色とりどりの野草や花が芽吹くのを心待ちにするには、まだ少し早いこの時季。
森を歩き、ふと顔を上げれば、春を待つ青空に、雪の重みで折れた枝が引っかかっています。視線はそこからゆっくりと、地面へと落ちてきた足元の枝たちへ。普通なら片付けるべき「ゴミ」に見えるかもしれません。でも、少し視点を変えてみると、それらはすべて世界に一つだけの「素材」に変わります。「この枝の曲がり具合なら、手に馴染むスプーンが作れるかも」。そんな風に想像しながら歩くと、何の変哲もない森が宝探しのようにわくわくする場所に変わります。
森で拾った生木を削る 暮らしを彩る、手仕事の時間
冬から春にかけて夢中になっているのが「グリーンウッドワーク」です。
乾燥していない「生木」を、ナイフなどのシンプルな手道具で削って生活道具をつくる、古いけど新しい木工のこと。特別な工房も、高価な電動工具もいりません。森で拾った枝を削ると、みずみずしい木の香りとしっとりした感触。拾う木によって全く異なる削り心地にも、改めて驚かされます。
先日開催した大人向け「スパチュラ(木べら)作り」のイベントでも、皆さん無心になって木と向き合い、削っていました。
自分の手で、日々の暮らしで使う道具を作る。そんな「没頭」という少し贅沢な時間は、私たちの心を満たしてくれます。
早春の里山で、感性をアップデート
「アウトドア」と聞くと、ハードルが高い、あるいは立派な道具を揃えなければいけないイメージがあるかもしれません。でも、本当の楽しさは「今ここにあるもの」を面白がることにあると私は思っています。
活動拠点である柏崎・夢の森公園は、まさにその「入り口」にぴったりの場所です。気軽に入りやすい森があるのもおすすめポイントの一つ。これからの時季、長靴を履いて森へ入り、自分だけの素材を見つけたり、雪が解けた土の感触や匂いを感じてみる。まだ葉が繁っていない明るい森で、野鳥の姿やさえずりを楽しんだりと、3月の新潟ならではの贅沢な時間が流れています。
何でもない枝が、愛着のわく道具に生まれ変わる。どこにでもある草木から綺麗な色が染まる。そんな魔法のような体験を、多くの方に味わってほしいと思っています。いきなり一人で森へ入るのは……という方も、まずは気軽にワークショップをのぞいてみてください。大人向けの自然素材を使ったワークショップは例年12月〜3月にかけて多く実施しています。今回紹介した木工以外にも、草木染めやハーブ、鹿革クラフト、星空、ジビエなど様々なテーマがあります。
最新情報はぜひHP(https://yumenomori-park.jp/)をチェックしてみてください。
【プロフィール】
柏崎・夢の森公園 中村 拓郎さん
栃木県生まれ、柏崎市高柳町在住。柏崎・夢の森公園スタッフ(インタープリター)。山々を渡り歩き、南太平洋のサモアでの生活を経て反動で雪国へ。里山での「不便さという贅沢」に目覚め、移住して早13年。子どもにも自然にもまっすぐ向き合い、自然体験や米作り、狩猟を実践しながら、知恵と遊び心を伝える。「火の扱い、刃物の扱いならおまかせ!新潟の里山・アウトドアをとことん楽しみましょう!」
柏崎・夢の森公園 https://yumenomori-park.jp/
〒945-1355 新潟県柏崎市軽井川4544-1




