春の訪れとともに花開く雪椿。一般的なヤブツバキとは異なり、雪の多い地域にしか自生しない希少な植物です。120年前に新潟県阿賀町で発見され、1966(昭和41)年に県の木に指定されました。そのゆかりの地の歴史や花の名所、雪椿から生まれた特産品などを紹介します。
坂口謹一郎博士が愛した雪椿
上越市出身の坂口謹一郎博士はカビや酵母の専門家だが、実はツバキにも造詣が深く、私財を投じて雪椿の保存育成に努めた。博士の業績を顕彰するための施設・坂口記念館には、博士自ら集めた、190本ほどの雪椿を見られる「雪椿園」が広がっている。
館の展示施設「酒杜り館(さかもりかん)」では博士の研究資料やゆかりの品のほか、博士夫妻が命名したと伝わるツバキの写真や、ツバキについて詠んだ和歌なども紹介されている。

白、薄紅、濃いピンクなど、雪椿園ではさまざまな雪椿が咲く。園内には博士が詠んだ歌碑もある

坂口謹一郎博士
(上越市提供 撮影:霜鳥一三氏)
毎年春には「坂口謹一郎博士と酒とつばきの祭典」というイベントを開催。ことしは4/1(水)から21(火)まで行われる。酒杜り館に隣接する、坂口家の旧家の雰囲気を再現した建物「楽縫庵(らくほうあん)」では期間中、抹茶が無料で振る舞われ(無料開放日は除く)、庭に面した座敷でお茶をいただきながら、雪椿を観賞できる。

「坂口謹一郎博士と酒とつばきの祭典」では4/8(水)から雪椿即売会も行われる

記念館の「楽縫庵」にあるいろりの間には、博士の書架や机が並んでいる
坂口謹一郎博士と酒とつばきの祭典
期間│4/1(水)~21(火)
住所|坂口記念館(上越市頸城区鵜ノ木148)[地図]
電話|025-530-3100
時間|10:00~16:00
定休|月曜(祝日の場合は翌日)
料金|310円(中学生以下無料) ※4/5(日)は入館無料
加茂山を彩る雪椿
加茂市の加茂山公園には、園芸品種の雪椿が約100種、1,300本が並ぶ雪椿園や、野生種の群生地であるツバキ谷がある。加茂市観光協会の阿部駿さんによると「昭和41年に県の木を選ぶ県民投票が行われ、加茂市民が一丸となってはがきを送った」という。そこには、雪椿が県の木に選ばれることで、加茂のことを多くの人に知ってもらえるきっかけになるのではないか、という思いがあった。
県の木に制定されたことを機に、その翌年から加茂市では「雪椿まつり」を開催。ことしは4/4(土)から19(日)まで行われる。ちょうど桜の開花時季と重なり、雪椿と桜を同時に楽しむことができる。
雪椿園の近くには、歌手の小林幸子さんが歌う「雪椿」の歌碑も立っている。また公園内にある青海(あおみ)神社では、雪椿の花をかたどった絵馬も扱っている。

加茂山公園には桜もあり、4月上旬ごろなら、二つの花を同時に見られる

ことしで60回目を迎える雪椿まつり。ステージイベントでは、市内の音楽団体などが演奏を披露する

青海神社の絵馬「雪椿」。社務所にて午前8時から午後6時まで授与(初穂料700円)
第60回雪椿まつり
期間│4/4(土)~19(日)
場所|加茂市本町商店街[地図]、青海神社赤鳥居前[地図]ほか
問い合わせ|加茂市観光協会 0256-53-0234
雪国植物園の雪椿
約850種類の山野草や樹木が生育する雪国植物園。園芸種や外来種は導入せず、県内に自生する野生種のみを育てる、という理念を掲げて1996年に開園した。園内の「ユキツバキ苑」では、雪椿を研究していた故・萩屋薫新潟大学名誉教授が集めたものを、散策路沿いには自生種の雪椿を見ることができる。園長の大原久治(きゅうじ)さんによると、雪椿は「日当たりに気を配り細やかに手入れすれば、一本の木が100以上の花を咲かせる」という。見頃は3月下旬から4月まで。天候によっては5月に楽しめる品種もある。

雪椿とオオヤマザクラの見事な競演

雪国植物園では自生種のほか、研究者の萩屋薫さんが集めた自然交雑種の雪椿も見られる
雪国植物園
住所|新潟県長岡市宮本町3丁目[地図]
電話|0258-46-0030
時間|9:00~17:00(入場券販売は16:30まで)
定休|開園期間の3月中旬から11月中旬まで無休、冬季休業
料金|大人500円/高校生以下50円/未就学児無料
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