新潟県産米粉を使った生パスタ「ECIGOTTI」
つるんと滑らかで、もちもちとした食感。新潟産コシヒカリの米粉を配合した生パスタ「ECIGOTTI(エチゴッティ)」は、ほんのりと米の風味が広がる。「そうめんより食感があって、うどんより軽い。ぜひ一度味わってみてほしい」と、小国製麺(胎内市)副社長の齋藤公美さんは勧める。

小国製麺は1952年、山形県小国町で創業した製麺会社。80年に黒川村(現胎内市)へ拠点を移し、地域密着型のうどんや焼きそばを主力商品としてきた。しかし、バブル崩壊後は大手流通の拡大に伴って価格競争が激化。「地域企業ならではの強み」を模索する中、転機となったのが米粉との出会いだった。
齋藤さんは現社長の次女として96年に入社。工場周辺に広がる田園で減反が進む様子を目の当たりにし、日本の食の変化を肌で感じていた。そんな折、工場から徒歩圏内にあった製粉会社が製麺に適した米粉を開発したことを知り、米粉麺の開発に着手した。「新潟産の原料で作れて、新潟ならではの新しい食文化を育てられる。夢が広がった」

試行錯誤の末、2009年に米粉入り生パスタを開発。11年には越後新潟の名を冠し、「エチゴッティ」と名付けた。米粉100%ではなく、小麦粉との配合を工夫することで、日常の食卓になじむ味わいと食感を追求した。
開発当初は、新潟のブランド米を使った麺であること自体が付加価値になると考えていたという。「浅はかだったなと今は思う。米の消費量だとか農家さんが、といった話ではなく、新潟の人がおいしいと感じ、食文化として根付いたものでなければ、県外でも受け入れてもらえないと痛感した」と振り返る。

その後は「まずはおいしさを知ってもらうこと」を重視する販売戦略へ転換。飲食店での採用を広げようと、一軒一軒足を運んだ。現在は県内約50店舗で提供されるほか、大手スーパーでも販売されるなど、着実に販路を広げている。
米粉市場は広がりつつある一方、さらなる普及には食べ方の提案や保存性の向上が欠かせないと考える。「暑い時季のお勧めは、麺を冷たく冷やしたサラダパスタ。野菜をたくさんのせてドレッシングであえるだけで簡単においしく食べられる」と話す。
21年には常温保存できる乾麺も発売。生パスタも冷凍対応にするなど改良を重ね、家庭用と即食商品の両面から需要拡大を目指す。
米食文化に新たな提案 地元農家の思いも商品に込めて
米粉事業を通じて地元農家との交流も深まり、地域農業の価値を改めて実感する。「工場見学に来てくれた農家さんが『自分たちの作った米がこんないい商品になるなら、自分の代で農業をやめるわけにはいかないな』と言ってくれた。私たちが地域で商売を続けていく上で、絶対にやめられない事業だと思っている」とほほえむ。

目標は、エチゴッティを「新潟の食文化」として食卓の定番に育てること。「家庭の味として日常に溶け込み、食文化として根付いていく。それが一番の夢」と目を輝かせた。
齋藤公美さん
【プロフィール】
さいとう・くみ 山形県小国町出身。96年小国製麺入社。「ECIGOTTI」をはじめとする米粉麺製品の開発に携わり、新しい米食文化を提案している。



