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2026.06.17 life

シンプルに、丁寧に 土地の個性香る「山のワイン」/胎内高原ワイナリー(新潟・胎内市)

エリア

下越/佐渡

新潟の気候風土を映す個性豊かな10のワイナリーが集う「新潟県ワイナリー協会」加盟社によるリレーコラム。今月は胎内高原ワイナリー(胎内市)の坂上俊さんが、ワイン造りへの思いとその魅力を紹介します。


くねるような山道を上ると、突然視界が開けます。急斜面に整然と列をなすブドウの樹。見下ろせば、広がる田園の中に町並み、その先に日本海。胎内高原ワイナリーのブドウは、高坪山の中腹、標高250m の大地に根を張り、いつも風の中にあります。吹き下ろすだしの風と海風が重なり合う中、か細くも芯のある樹体に、早朝から夕暮れまで陽射しを浴び、小さな一粒一粒に大地の味を凝縮させて。

高坪山の中腹にあるブドウ畑から見下ろす胎内市街

特産品目指す試みから生まれた市営ワイナリー

2007年、胎内高原ワイナリーは生まれました。胎内市が運営する、全国でも数少ない市営のワイナリーです。
ブドウは100%自圃産。市役所の職員が醸造を行い、地元の方たちと一緒に、力を出し合ってつくっています。

はじまりは、まちに特産品を生み出そうという試みでした。山の斜面に桃やクリなどを植えたところ、ワイン用のブドウがひときわ良く育ちました。生食用ではなく、ワイン専用種にこだわって栽培しています。

作業の合間に一休み。地元のおじいちゃんおばあちゃんが手作業で支えている

炎天下、急斜面でのブドウ栽培 地元の方たちが支える品質

ブドウに目一杯陽が当たるように葉を除き、育ちの良くない実を摘み取り、下草を刈る。そして、ブドウの枝を理想的な場所に伸ばし誘引する。炎天下、急斜面での農作業をしているのは、平均年齢70歳の地元のおじいちゃん、おばあちゃんたち。気が遠くなるような単純作業にも、終始笑顔で言う「うちらは時が早いから」。一人一人の手作業が、このワインの品質を保っています。

約7ヘクタールのブドウ畑では、除草剤を使わず、人が耕さずに下草の根が土の中で耕してくれるという考えのもと、不耕起栽培を行い土地の力を引き出しています。泥岩を含む土壌は、肥沃とは言えない、いわゆるやせ地です。ぶどうは栄養と水を求め、根を深く伸ばし、この地の特徴を映し出します。こうして実ったブドウは、小さいながらも深く濃く、土地の個性が香ります。乾いた大地が宿る、奥行きあるテイストが胎内高原ワインの骨格です。

胎内高原ワイン「ツヴァイゲルト」

胎内の代表品種のツヴァイゲルトは、オーストリアで生まれた赤ワイン用の品種です。
ベリーを中心としたエレガントな香り・筋の通った酸味が、味わいの骨格を支えています。胎内高原ワインのラインアップの中では、特に評価が高く、年を追うほどに、ワインコンクールでの受賞が増えています。

きっかけは、区画別、単品種の醸造でした。エリアごとにブドウを収穫して醸造し、数ある樽の中から、最もよいものを選び出し、「ツヴァイゲルト」の名を冠して出荷しています。「ツヴァイゲルト」は、その年の出来を象徴するとともに、胎内高原ワインの底力を語る銘柄でもあります。

辛口のスパークリング白ワイン「ヴァンペティアン」

人気のヴァンペティアンは微発泡のワインです。完成したワインに酵母などを加えて栓をし、瓶の中で再び発酵させる瓶内二次発酵で仕上げられます。酵母などの澱を除く「澱引き」をしていないため、濁りがありますが、それもうまみの証。グラスに注ぐと、繊細な泡が立ち上り、華やかな気分ときらめく時間をくれます。「ペティアン」とは微発泡を意味するフランス語。「きらめく」の意味もあるそうです。ロゼと白の2種類があります。

胎内高原ワイナリーは、畑から離れたスキー場の近くにあり、売店や見学施設はなく、醸造に特化した施設です。醸造のベースにあるのはクリーンなワイン造り。「良いワインは良いブドウから…」という言葉があるように、質の高いブドウを収穫することができる良い畑があります。これからも「ワインは畑でつくられる」ということを心に留め、シンプルに、そして丁寧に醸していきます。


【プロフィール】
胎内市農林水産課農産振興係
胎内高原ワイナリー
主任 坂上 俊
新潟県胎内市出身。2001年入庁。地ビール造りに約10年、乳製品製造に3年ほど携わったのち、ワイナリーの予算管理や営業業務、販売等を経験。2020年よりワイン造りの専任として取り組んでいる。

胎内高原ワイナリー
住所|新潟県胎内市宮久1454
電話|0254-48-2400
営業時間|9:0017:00
ワイナリー見学|不可
HPhttps://tainaiwinery.stores.jp/