新潟の気候風土を映す個性豊かなワイナリーが集う「新潟県ワイナリー協会」加盟社によるリレーコラム。今月は、新潟市西蒲区の「ルサンクワイナリー」代表・醸造家の阿部 隆史さんが、ブルゴーニュワインとの出会いと、「トラディショナルでエレガント」なワイン造りへの思いを紹介します。
ブルゴーニュワインは時をかけて
造り手・阿部隆史が親しい人たちと囲んだ食卓で出会った、ブルゴーニュのワイン。今思えばそれがきっかけだったと振り返ります。とはいえ、その場で衝撃を受け、すぐさま人生が変わったわけではありません。ただ、静かながら奥行きのある味わいが、後からじわじわとしみていきました。そしていつしか、「こんなワインを造ってみたい」という思いにまで育っていたのです。
「飲む」から「造る」へ
以前はIT企業に勤め、ワイン造りとは縁のない仕事をしていました。それでも、胸の内に宿ったワインへの思いは少しずつ芽を伸ばし、カーブドッチワイナリーが開く「ワイナリー経営塾」へ。気づけば葡萄畑に立っていました。さらに栽培から醸造、販売まで、一年間かけてワイナリー経営の基礎を学びました。
五番目の末っ子、ルサンク
2015年10月、新潟市西蒲区角田浜の「新潟ワインコースト」に小さなワイナリーが仲間入りしました。その名は、ルサンクワイナリー。「CINQ(サンク)」は、フランス語で数字の「5」。新潟ワインコーストに5番目に生まれたから、ルサンク。名前の由来は、いたって率直です。名は末っ子でも、目指すワインの姿は初めから明確でした。
型を守り、葡萄の声を聴く
目指すのは、「トラディショナルでエレガント」なワイン。ワイン造りには、長い歴史の中で培われてきた型があります。奇をてらうより、まずはその型を丁寧に守ること。そのうえで、土地や品種の特徴を素直に生かし、香り高く、やさしい味わいのきれいなワインへと仕上げていきます。
自社畑では、ブルゴーニュへの思いにつながるピノ・ノワールとシャルドネを栽培しています。なかでもピノ・ノワールを醸したワインは、ルサンクワイナリーを象徴するフラッグシップ。ブルゴーニュへの憧れと、角田浜の土地とが出会って生まれる一本でもあります。樽を使わずに仕上げた、バラを思わせる香りと豊かな果実味、やさしいタンニンが調和する赤ワインです。また、信頼する農家から仕入れた葡萄も、それぞれの持ち味を生かして醸します。
造り手は決して饒舌ではなく、口数も愛想もやや控えめ。けれどワインにも似て、時間をかけるとじわりと開くことも。少々頑固なまでにその型を守り、葡萄の声には静かに耳を澄ませます。
語らいのそばに、静かに残る一本を
ルサンクワイナリーの始まりは、親しい人たちとの語らいの傍らにあった一本のワインでした。透き通ったワインのきらめきの向こうに、いつもの食卓が少し特別に見える。そのひとときを豊かにし、飲み終えた後にも幸せな余韻が残る。そんな一本を、角田浜から届けたいと考えています。
(※文/ルサンクワイナリー広報担当)
2024 Pinot noir
【プロフィール】
ルサンクワイナリー株式会社
代表・醸造家 阿部 隆史さん
IT業界でSE、プロジェクトマネージャー、営業部長などを経験。ブルゴーニュワインとの出会いをきっかけにワイン造りを志し、2014年、カーブドッチワイナリーが主催する「ワイナリー経営塾」へ。葡萄栽培から醸造、販売まで一年間学び、2015年10月、新潟ワインコーストにルサンクワイナリーを開業。ピノ・ノワールをフラッグシップに、「トラディショナルでエレガント」なワイン造りに取り組んでいる。
ルサンクワイナリー
住所|新潟県新潟市西蒲区角田浜1693
電話|0256-78-8490
営業時間|10:00~16:00
営業日|土・日・祝日(臨時休業あり。平日は要事前連絡)
ワイナリー見学|事前予約制(8~11月は休止)
HP|https://lecinqwinery.com/





