「食卓に咲かせる輪花の器」
食卓が自然と華やぐ輪花(りんか)や稜花(りょうか)の器が好きだ。
輪花と呼ばれる器は、字の如く花の形をした器だが、縁を丸い花弁状に、規則的に切れ込みが入ったものを指し、稜花は花弁部分が尖ったものを指す。
縁のみが花の形になっているものや、見込み(器の内側)まで立体的なもの、そしてさらに絵付けなどの装飾を加えたものもあり、幅広い。
個人的には見込みまで花弁状に彫り込まれた(もしくは型打ちされた)輪花が好きだ。内側に凹凸があることで器の中に陰影が生まれ、そこに料理を盛り付けると、食卓に立体感や躍動感、愉しげな空気感が加わるように感じている。
器の選び方や盛り付けの相談を受けることは度々あるが、食卓がいまいち変わり映えしないと感じる人には、高低差や立体感を加えることを意識すると、見映えが大きく変わると伝えることが多い。
しかし、難しく考えずとも自然と食卓に立体感や華やかさを生み出してくれ、主役にも名脇役にもなってくれるのが輪花の器だと思っている。
花を愛でる人が多いように、輪花や稜花、雪輪といった形は、自然のモチーフであることが心を魅了するようで、無意識に手に取ることが多い。
人は放射状に広がるものに美を感じ、活力をもらっているような気がする。光や音の広がりのように、自然の道理に従っているからか。
食卓に花を咲かせることで、食材からの栄養だけではない「元気」を頂こう。
日常使いに取り入れやすく、丸や四角など他の形の器とも相性の良い輪花の器。
重ねて収納される姿もまた美しく愛おしい。
【プロフィール】
高橋香織さん
千葉県出身。スウェーデン等、海外経験も長く、日本の魅力を再認識。食を愉しむ暮らしをインスタグラムで発信している。産まれたての雛の雌雄を判別する初生雛鑑別師の資格を持ち、全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会で2度優勝している。新潟県見附市在住。