アウトドアの達人が、自然豊かな新潟県の楽しみ方を紹介するリレーコラム。今月はWEST CAFE長岡店の石川明日華さんが山ごはんの楽しみ方をレクチャーします。
高校で登山部に入部したことをきっかけに、山登りを始めました。山での食事はみんなで作っており、私にとって部活動の中で一番の楽しみでした。もちろん登山そのものも楽しかったのですが、みんなで献立を立てて食材を買い、誰が何を持っていくか振り分ける、その時間が楽しかったのを覚えています。
ガスバーナーの使い方や限られた道具での調理など、山でのごはんの作り方はどれも新鮮でした。部活動では、体力トレーニングもありましたが、ご飯を炊く練習をする日もあり、山登りにとって“ごはん”はなくてはならないものと感じました。
休日のルーティーンは山での朝食
就職してから自発的に登ったのは、新潟市の角田山です。せっかくなので“朝ごはんを山頂で食べよう!”と思い、簡単に食べられるサンドイッチを持って行きました。その日はとても天気が良く、なんでもないサンドイッチが何倍にもおいしく感じられたことを覚えています。
何気ない日常が特別に感じられるのは、非日常空間の山頂で食べたから。いつもより朝早く起き、まだ誰もいない山の中をゆっくりと歩き、澄んだ空気を吸いながら山頂で食べる朝ごはんはとても特別なもの。今では、一人で山登りをするのは朝ごはんを目的に行くことが多く、休日のルーティーンの一つにもなっています。
無水調理で身軽においしく
登山の際に忘れてはいけないものは水分です。特に夏山の時期にはたくさんの水分が必要です。山の規模によっては他にも多くの持ち物が必要になるので、負担も大きくなります。昨夏に北アルプスへテント泊で行ったときは、なるべく持ち物を減らそうと、野菜の水分だけで煮込む『無水カレー』を作ってみました。今は便利なフリーズドライ食品が出回っていますが、みんなで調理を楽しむため、あえて食材を持参しました。それでも無水カレーにしたおかげで、調理用の水分も不要で気持ちの面でも楽でした。とてもおいしく感じたのは、みんなで作ったからでもあると思います。
山頂でごはんを作るとき、私が必ず持っていくのは登山部時代から愛用している食器(クッカー)と手のひらサイズのガスバーナー。これさえあれば大抵のものは調理できるので“今回は作るぞ!”というときの必需品となっています。
時には地場産のおいしいフルーツやごはんを買って山頂で食べることもあります。新潟県は車で少し走れば山へ行くことができます。おいしい食材を持って山に登れば、その土地を五感で満喫できるのでおすすめです。
次の週末には、おいしいごはんを持って、いい景色を眺めに出かけてみるのはいかがですか?
【プロフィール】
WEST CAFE長岡店 石川明日華さん
アウトドア専門店WESTが手がける「WEST CAFE長岡店」のパティシエ。春から秋にかけて県内の山を中心に登っている。下山後に食べるアイスクリームが大好き。