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新潟の夏が好きだ。
夏野菜の豊富さに心も豊かになる。
越してきたばかりの頃は新潟県民が食べる枝豆の量に驚き、茄子の種類の多さに驚き、野菜の美味しさに感動した。

新潟に来て以来、夏野菜の素晴らしさを身をもって感じている。以前は興味のなかった枝豆も大好きになり、全く食べられなかった茄子の漬物が食べられるようになり、今では自らせっせと漬けているのだから驚きだ。

夏野菜の色と古器物の相性はとても良い。

現代は食材や料理の幅が多様過ぎるほどだけれど、古い器が活躍していた時代は、もっとシンプルだっただろうから、先人たちは当然野菜の彩りが映える器を生み出していたことだろう。

古くから変わらない野菜たちの色は、日々の食卓にぴったり寄り添っていたはずだ。

野菜との相性が良いのも当たり前と言える。

真夏の暑さ厳しい時期は、無理して台所に立たないのが私の信条で、道の駅などで新鮮な地物野菜をどっさり抱えて帰ってきたら、一番シンプルな方法でいかに美味しく、いかに時短で調理するかが肝となる。

味わいも見栄えも、野菜の力に任せるだけで、生き生きとした素晴らしい食卓になるものである。

切っただけ、焼いただけ、茹でただけ、蒸しただけ、揚げただけ。

それで充分。塩すら振らないことも多々あるが、とびきりのご馳走になって、自然と感謝の気持ちが湧いてくる。

染付や絵付けの古い器を日常に取り入れるのはハードルが高くて、どう合わせて良いかわからないという声を耳にするけれど、大丈夫。

夏が取り入れるチャンス。

夏野菜のいきいきとした様を盛り付けるだけで、そんな悩みはなかったかのように簡単に古物が食卓に馴染む。

古い器に現代の器を仲間入りさせて、和洋も折衷すると不思議と仲良く交わるものだ。

さらにガラスや漆を合わせるのも、夏の食卓によく似合う。

案ずることなかれ。

自分が楽しめればそれが正解であって、誰と比べる必要もないのだから。

手始めに、手ごろに手に入れられる、青が美しい印判()の器辺りから取り入れてみることをお勧めする。

 

※明治以降に広まった、絵柄を転写して絵付けする技術


【プロフィール】
高橋香織さん

千葉県出身。スウェーデン等、海外経験も長く、日本の魅力を再認識。食を愉しむ暮らしをインスタグラムで発信している。産まれたての雛の雌雄を判別する初生雛鑑別師の資格を持ち、全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会で2度優勝している。新潟県見附市在住。