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2024.10.28 special

ピンチに次ぐピンチ 終わらない修理

エリア

上越

新潟県上越市高田地区に現存する日本最古級の映画館「高田世界館」。動画配信全盛の現代にあって、映画館を盛り立てようと日々奮闘する支配人の上野迪音さんに、映画の楽しみ方を教えていただきます。


突然ですが今、高田世界館はピンチです。
なんならもうずっとずっとピンチなわけですけれども今回はまた別のピンチです。

なんと、館内の空調を担うエアコンが壊れました。
今なおクラウドファンディングを実施中の当館ですが(いよいよ10月末まで!)、また新たに難題を抱える事態になってしまいました。

館内には他にも補助的なエアコンが付いているので、すぐに重大な事態に至るとかではないのですが、今回壊れたのが一番の出力の大きな空調設備であったために今後の影響が心配であることには間違いありません。そのままにしておくわけにもいかないので困りました!

ちなみに私どもはもともとが「老朽化した映画館を修繕・維持する」というところから始まった組織(NPO)なわけであって、修繕という当初からのミッションそのものには変わりないのですが、ただ一方で設立時と違うのは、現在はバリバリの上映館として毎日営業をしているという状況であります。従業員も抱えている中でその営業を止めるわけにはいかず、壊れたからしばらく休む、ということはできません。難易度で言えば今回の方が厳しい状況です。走りながら直す、そんなイメージです。

ここまで来るともう笑っちゃうぐらいです。映写機(プロジェクター)の故障に伴う入れ替えもそうですが、本当に年がら年中、金策に奔走しているような感じです。

今回については、実はこの夏にまさにそのエアコンの故障が発生して修理した矢先でした。なんなら去年も修理をした箇所であるのですが、度重なる故障、いつまでたっても終わらない修理、そして出て行くお金…。

映写機入れ替え工事の様子

映画館として実績を重ねる。そういった中で必要な設備更新は当然ながらあることですが(そのエアコンも15年経ったところです)、雨漏りも昨年に発生し、今年の正月には地震で設備も一部破損し…。こうも集中して起きるとなるとなかなかにクレイジーな趣があります。泣きっ面に蜂とは言いますが、もう涙を超えて笑うしかないです…!

正月の地震で大きく傾いてしまったフィルム映写機

一体いつになったら営業に集中できるのか、もっと言えば映画に向き合うことができるのか。 次から次へと降りかかってくる試練に頭を悩ませております。正直私はもうパッパラパーです。
使える補助金などがないか今探っているところではありますが、それにしたって満額出るわけでもなく相当の自己資金を用意せねばならないわけなのでやはり厳しい状況に変わりはありません・・・。

こうなってくると建物はおろかスタッフ(というか私ですが)のメンタルもだんだん鬱屈としてきて、何か楽しいことを思い描かなければ!となったりするんですが、特に何も思い浮かばない・・・! なんなら先のことを考えたくないです(笑) 強いて言えば煮詰まって夕焼けの空を眺めていると温かい気分に包まれます…というか何も考えないで済みます。現実逃避…。

フォルダに貯まっていく夕暮れの写真…

高田世界館はNPO設立から今年でもって15周年を迎え、まもなく16周年を迎えようとしているところです。なかなかすんなりとはアニバーサリーを祝わせてくれないという感じが、この映画館に関わった者の宿命というものを感じさせます。

野球でいうともうだいたい8回裏くらいかなと思ったりもするのですが、まだまだ5回表ぐらいかもしれません(先が長い!)。果たしてこれから盛り返すことができるのか! 今後の展開にご期待?ください!

☆鬱屈はしてますがイベントはワシワシと組んでいます。ぜひご来場ください!

11/3()『うんこと死体の復権』トークショー

http://takadasekaikan.com/archives/20497

11/4(月祝)野外上映『シチリアを征服したクマ王国の物語』

http://takadasekaikan.com/archives/20512


高田世界館支配人 上野迪音(うえの・みちなり)
上越市出身。2014年より日本最古級の映画館「高田世界館」の運営に携わる。映画文化を地域に根付かせようと、さまざまな取り組みを行っている。

高田世界館 http://takadasekaikan.com/