子どもの成長と共に役目を終えたぬいぐるみや故人が大切にしていた人形には、家族の思い出が静かに宿っているもの。手放す時は、冠婚葬祭業のVIPグループが企画する「人形供養祭」を活用してみよう。
人形供養祭で優しいお別れを
新潟県内に四つの結婚式場と29の葬儀式場を運営し、冠婚葬祭をサポートするVIPグループ。お客さまから寄せられた「故人が大事にしていた人形を大切に送り出したい」という声に応える形で、人形供養祭は始まった。供養祭の当日は持参された人形が祭壇に丁寧に並べられ、厳かながらどこか温かな雰囲気の中、お経が読み上げられる。参列者は一般的な葬儀と同様に一人ずつ焼香や合掌礼拝を行い、式はおよそ一時間で執り行われる。
VIPシティホール一級葬祭ディレクターの伊藤亮聖(りょうせい)さんは「人形の種類で多いのは、お子さまが大きくなって不要になったぬいぐるみやおもちゃ。次いで亡くなられた方の遺品が多いですね。1体のみの方もいれば、複数お持ちになられる方もいらっしゃいます」と話す。供養の対象はひな人形や節句人形、キャラクターや動物のぬいぐるみなど。人形以外にも、故人が残した写真やアルバムなども依頼できる。

祭壇にはおよそ100体の人形が並ぶ。葬儀後や部屋の掃除後の利用も多い
気持ちに一区切り
参列者も穏やかな表情
供養祭の参加者は、子育てが一段落したり、故人の遺品整理を進めたりする年代の40〜60代の女性が中心。人形を一般ごみと同じように処分するのが心苦しいという人も少なくないため、こうした供養の場は需要が高い。供養祭を通して人形へこれまでの感謝を伝えることで、心の中で一区切りが付き、参加後に表情が和らぐ方も多い。遺品整理で来たお客さまから「人形を故人の元へ無事旅立たせてあげられた気がする」という言葉をもらったことが印象に残っていると伊藤さん。また、家族での参加もできるため、祖母の人形を祖父と孫が共に見送りに来るといったケースもあり、家族間で思い出を語り合う時間が自然に生まれることも人形供養祭ならではだ。

10年以上にわたり続いてきた人形供養祭。毎年、多くの人々が感謝の思いを胸に集まっている。式典の様子は、VIPグループの公式インスタグラムからチェックしてみよう
県内11会場で開催
焼香まで一緒に参加を
人形は、一緒に過ごし、可愛がってきた分だけ愛着が深まる存在。手放すには迷いやためらいがつきものだが、人形供養祭で見送ることで不思議と気持ちを整えられるという。「どんな人形とのお別れもきちんとサポートさせていただきます。ぜひ会場内でご焼香を上げるところまで一緒にご参加いただけたら、それが一番の供養になると思います」と伊藤さんは笑顔で話す。
供養祭当日は、葬儀や終活に関する相談会や見学会も同時開催され、人生の節目を総合的に支える体制が整っている。会場は新潟市内4会場のほか、中越・上越にも設けられ、計11会場で開催。一つの会場につき年に一度の開催だが、それぞれ時期をずらして行われるため、行きやすい場所や日程を調べてみよう。予約は電話またはウェブサイトから受け付けており、直前の申し込みにも柔軟に対応してくれる。感謝の思いとともに心に穏やかな区切りを与えてくれる、年に一度の大切な機会。人形供養祭で、これまで寄り添ってくれた人形を温かく送り出そう。

「人生の大切な儀式を支えたいという思いから、人形供養祭は生まれました。皆さまのご参加を心よりお待ちしております」と伊藤さん。誕生から葬儀まで、人生の節目に寄り添ってくれる
■人形供養祭について
開催日時・会場|HPより確認 https://www.vipevent.jp/event/
供養料|
[人形やぬいぐるみ]1体200円、5〜10体は1,000円、10体以上は1体につき100円
[写真]1枚200円、5〜10枚もしくはアルバム1冊で1,000円
その他|供養の対象は可燃性のものに限る
VIPシティホール
住所|各店舗による
電話|025-285-1110(新潟)、0256-33-3636(三条)、0258-36-3000(長岡)、025-526-5617(上越)
時間|各店舗による
インスタグラム|@kankonsousai_vip
HP|https://www.vipevent.jp