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2024.04.10 food

待ち侘びた春の到来に心浮き立つ

シリーズ

暮らしに新しい楽しみを LIFE UP

「春祝う山菜籠御膳」

待ち侘びた春の到来に心浮き立つ

雪に覆われた灰色の季節が終わるからというわけではなく、春の訪れと共に始まる山菜フィーバーを今か今かと待っていたからで、スーパーや道の駅など、至る所に彩り豊かな山菜がこれでもかと並ぶ光景は一言では表せないほどの喜びだ。

山よりも海に近い平野部の千葉で生まれ育ったせいか、春に食べる山菜といったら蕗の薹や野蒜程度の記憶しかない。

山菜の食文化は日本全国あると思えども、新潟ではこれほど豊かに食卓を彩り暮らしに寄り添っていることに春が来る度感動し、未だ出会う新しい味に驚き、喜びを噛み締めている。

さぁそんな豊かな恵みを春らしい器に盛り付ければ、幸せがぐっと増すこと間違いない。

冬の間は少々寒々しく感じる目の荒い籠たちに、爽やかな色合いの器やガラスの器を取り合わせ、春を満喫しよう。

瑞々しい緑を美しく見せるのは、ざらりと土感のある焼締の器や呉須(※1)の青。

盛り付ければ、両者が讃えあって目にも鮮やか。

ガラスでは、春霞のような質感のパート・ド・ヴェール(※2)の器。春が始まる浮き立つ気持ちにもそっと寄り添ってくれる。

小さい頃は、美味しさの前に苦味が際立ち楽しめなかった山菜。

冬に溜め込んだ老廃物を排出してくれるとか。

ストレス社会を生きる大人だからこそ、山菜の苦味(ポリフェノール)を美味しく感じるのだとか。

なるほど。

それでは大人の特権ということで、存分に楽しませて頂き、体の隅々に春が来たことを教えてあげよう。

家での調理がハードル高い日は、頼りになるお店で気の利いたお惣菜(新潟には地元の味を手軽に味わえるお店やお惣菜が豊富に思う)を手に入れる。

洗い物が増えることを案じる日は、大きな器に一緒くたに山高に盛り付けて。

器の七割程度に収めれば全てうまくいく。

山菜は鑑賞にも値する清々しい姿。

カタクリの花やくるりと可愛いこごみを花器に生けると、心も春めく食卓に。

心も身体も悦ぶ食卓でご自愛を。

1 染付けの器などに使われている青の顔料
2 ガラスの粉末を型の中でも熔融して成型するガラス工芸技法の一つ

~献立~
菜の花の瞬間蒸し・鯖の自家製味噌漬け・芽キャベツのグリル・そら豆オイル漬けとスナップエンドウ・ホタルイカとウルイのぬた・バジルとチーズの玉子焼き・コゴミのおひたし・筍ごはん 桜の塩漬けのせ・タラの芽と蕗の薹の天ぷら・生海苔のお吸い物


【プロフィール】
高橋香織さん

千葉県出身。スウェーデン等、海外経験も長く、日本の魅力を再認識。食を愉しむ暮らしをインスタグラムで発信している。産まれたての雛の雌雄を判別する初生雛鑑別師の資格を持ち、全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会で2度優勝している。新潟県見附市在住。