自身の人生の終わりについて考え、今これからをより良く生きるための「終活」についてお届けする「ココロエ」。今回のテーマは「空き家対策」です。
（写真：市外からも来客があったり、テレビ番組に取り上げられたりと、地域活性化にも一役買っている駄菓子屋ハブ。店名には「地域のハブになりたい」という意味が込められている）

File-02　空き家対策

昨今問題になっている放置空き家。自分が暮らした家を不動産ならぬ負動産にしないためにはどうしたらいいのか。長岡市の「空き家バンク」の状況、その利活用などを今回はご紹介したい。

空き家対策あれこれ

空き家対策について話を伺った長岡市都市政策課の皆さん。左から吉野和俊さん、鈴木忠夫さん、髙木一さん

長岡市は、5年ごとに空き家についての調査を行っているが、担当者によると「市内の空き家は年々増加傾向にある」という。居住用の建物が残っていると「住宅用地の特例が適用になり、土地の固定資産税が軽減される」ため、それが空き家を放置している要因のひとつになっている。「建物が残っている間は、雪下ろしや修繕などの維持管理に手間と費用がかかり続けることをよく考えてほしい」と話す。

自身が亡くなった後、住む人がなく空き家になることが分かっているような場合、事前に準備できることはあるのだろうか。「そのような方にお薦めなのが、国土交通省のホームページで公開されている『住まいのエンディングノート』。家や土地についてどうしてほしいのか書き残しておくと、親族もスムーズに対処しやすい」という。

空き家の売却や賃貸を考えているが、具体的にどうすればいいのか分からないという人は、長岡市が運営しているウェブサイト「空き家バンク」を利用するのはいかがだろうか。空き家の有効活用を目的に設けられたもので、2025年10月6日現在28軒の物件が登録されている。

ちなみに相続などで取得した空き家等を3年以内に売却した場合、一定の要件に当てはまると3,000万円まで控除されるという税制優遇がある。「長岡市は空き家に関する悩みを解決するため複数の団体と協定を結んでおり、内容に応じて紹介しています。まずはご相談いただければと思います」

空き家バンクの物件で地域活性化

長岡造形大建築・環境デザイン学科准教授の福本塁さん

空き家バンクの有効活用事例を一つご紹介したい。寺泊にある「駄菓子屋ハブ」は、長岡造形大准教授の福本塁さんが学生たちと共に運営している店舗だ。活用している建物は、かつて理容室として地域住民に長く愛されてきたもので、空き家バンクに登録されていた物件だった。売主にとって思い入れのある建物で、譲り渡した後のことをとても気にしていたという。そのため「ここをどんな場所にしたいのかということをいろいろ話しました」と福本さんは振り返る。

空き家バンクで物件を見たのが2021年の秋で、翌年3月に物件を取得、半年後の9月に駄菓子店をオープンした。

福本さんの専門は建築環境デザインだ。その立場から空き家の活用について「しっかりと費用をかけてデザイナーや建築家が関わり、以前とは異なるキラキラした物件に生まれ変わることもあれば、費用面でそうした方向には進みにくいが、記憶や文脈といった魅力を秘めた物件も多々ある」と分析。「ここはまさにポテンシャルがあるのに、見過ごされていた物件のひとつ」と話す。

トイレを水洗に変えるなど最低限必要な箇所には手を入れたものの、シャンプー台や大きな鏡など理容室当時のしつらえをそのまま残し、場所の記憶が来店者にも伝わるようにした。そのため訪れた地元の人と思い出話に花が咲くこともあるという。また売主との関係について、「春はフキ、秋は柿を採りに来られお返しを頂く、昔の写真で思い出をお聞きするなど、いまも良好な関係が続いている。売買だけではなく、記憶やご縁を継承する空き家再生も一つのあり方」と語った。

長岡市都市整備部 都市政策課
住所 │ 長岡市大手通2-6　フェニックス大手イースト8階［地図］
電話 │ 0258-39-2265
空き家バンクのHPはこちら

駄菓子屋ハブ
住所 │長岡市寺泊竹森1106-1［地図］
電話 │0256-78-7885
時間 │金曜 15:00〜17:00、土曜・日曜 11:00〜16:00
定休 │月曜〜木曜

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