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2025.07.14 special

逆境が結んだ出会いと挑戦 新潟で奏でる新たなハーモニー

シリーズ

TOKUのMUSIC LIFE

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
TOKUの第4回めの「assh」コラムにようこそ。
今回もパリで原稿を書いています。

前回は夏がやってきたということで世界の、特にヨーロッパのジャズ・フェスティバルを紹介しました。
ついさっき、パリの「Défense Jazz Festival」というフェスティバルに友人が出演していたので見に行ってきたところです。

この時期はパリだけでもいくつかの屋外イベントがあり、日も長いので皆さん夏の夕方を楽しんでいる様子。
それに日本ほど湿気はなく気温も高くないので気持ちいいんです。

平日の昼間もやってたりして、この前の月曜日は長い付き合いの友達が出演していたので会いに行ってきました。周りにあるオフィスで働く人たちがちょうどお昼の休憩がてら生の音楽を楽しめるなんて、ちょっと日本じゃ考えられないような雰囲気。なんだか羨ましくなりました。

さて、実は今回1番書きたいことは海外でなく日本、それも新潟のことなんです。
ご存知のように、僕は新潟県三条市で育ち、高校で新潟市に通い、大学で埼玉に出て1年目の秋ごろにジャズに開眼しのめり込むことになります。
それまでも父親の影響で耳にしていたジャズという音楽を、まさか自分が始めるとは夢にも思いませんでした。その出会いは第1回に書いたので、初めて僕のコラムを読む方はぜひ遡ってみてください。

大学生のころは、年末年始は実家で過ごしていたので、新潟市内のジャズクラブのジャム・セッションに行ってみたりもしました。
そしてデビュー直前、「万代シテイ・ジャズ・フェスティバル」という無料のイベントが1999年にスタートし、第1回目から2015年に終了してしまうまで、途中からプロデューサーも兼ねて毎年出演させていただきました。

そこで地元のミュージシャンの方とたくさん出会い、毎年の目玉になっていたビッグバンドとのセッションコーナーではみんな入り乱れてセッションするという、本当に楽しいイベントだったのです。

それから5年、パンデミックがやってきます。
これは音楽界のみならず世界中の様々な分野において変化をもたらしました。もちろん、残念なことにそのほとんどは良い変化とは言えないでしょう。

ですが今回書きたいことにとって、新潟を取り巻く音楽状況にとったら不幸中の幸いだと感じることもあります。
僕もその1人ですが、新潟を飛び出して東京でどっぷりと音楽・ジャズにハマり、活動していた新潟出身の若いミュージシャン達が帰郷を余儀なくされ、地元で活動し始めて、程なくして僕は彼らに出会うことになります。

2021年の12月、その年にリリースした僕にとって初めてのクリスマス・アルバム「Season’s Greetings」のリリース記念公演を三条市で開催させていただき、終演後の打ち上げ会場である三条市のジャズ・クラブ「Sato’s Bar」で打ち上がっている時でした。
楽しそうな音が聞こえてくるではありませんか。

3人のミュージシャン達がセッションしていたのですが、1人は前の日の公演前に出会った長岡市出身のピアニスト・佐藤アルト、1人はその次の日に共演する予定で僕のコンサートを聞きに来てくれていた新潟市出身のドラマーでありベーシストでもある宮村日向、そしてドラムを叩いていたのは三条市出身の伊佐悠(当時は山本悠)の3人だったのです。
そしてなんとドラムの悠くんは、会うのは初めてだと思っていたら、なんと彼が高校3年生の時に僕が彼の高校にクリニックに行って、そこで出会ってるとのこと!話を聞いて彼のことを思い出しながら、10年ぶりの再会を果たしたのでした。音楽をやめずにやり続けてくれていたことに嬉しく、胸が熱くなりました。

「例の3人」のミュージシャンと。右から佐藤アルト、宮村日向、伊佐悠

そして、その時から彼らと共演する機会が増えていくことになります。
僕が単身で地元に行き、僕と共演する若手のミュージシャン達がいるという状況が初めて起こったのです。これは実はずっと夢見ていたことでした。

すでに書いたように、いろんな地元のミュージシャン達と出会ってはいましたが、自分と近い感性を持った方には出会ったことがなかったのです。それが、皮肉ではあるかもしれませんが、パンデミックがきっかけで起こったのです。

複雑ではありますが、新潟の音楽界にとってはとても良かったと言わざるを得ないかなあ。。
すいません、あえて僕の観点からそう書かせてもらいますね。

その次の年の2022年から3人と3年連続で東北ツアーに出かけ、他にも今まで様々なところで共演してきました。

これには父親もとても嬉しく思っており、僕よりもずっと前から地元の文化についていろいろと感じてきた彼にとったら、僕よりも大いに結構な状況だと思っているかもしれません!
そして、その僕と父親の思いは、1981年に父親が作ったスタジオの本格的な再稼働へと繋がっていきます。

2023年の夏、父親のスタジオ「Opus」で、テスト・レコーディングが行われました。参加してくれたのはもちろんあの3人です。ここで良い手応えを得た僕らは、タイミングを見てアルバムの制作をしようと話します。それが、今年の1月となったのです。

去年からパリでの海外生活、人生のチャレンジを始めた直後ではありましたが、父親がまだ現役のうちにと思い今年の1月に決行することにしました。また、これが最後とも思っていませんし、父親とはまだまだ一緒に作っていきたい思いもあるので、まずはやってみようと思いレコーディングに取り掛かったのです。

今年になるまでに、この若手3人を通じて何人かのこれからが楽しみなミュージシャンにも出会いました。そして以前から交流のあるミュージシャン達にも参加してもらいたいと思い、僕を含め参加ミュージシャンは総勢10人になりました。

スタジオには何日かに渡って全員がスケジュールを調整しながら出来ることからやっていく、というような感じで進んでいきました。

全てのレコーディングはとにかく楽しく、和気あいあいとした雰囲気の中でも緊張感を持ちながら臨むという理想的な環境を、皆が自然と作りながら進んだことはとても印象に残りました。

それぞれが気を遣い合って、お互いを思いやりながらみんなで作ることに集中している姿を見て僕も刺激を受けました。自分も人としてまだまだだなと思えたことにはみんなに感謝です。

なんでもそうですが、結局は人なんですよね。
そして日本人であることの大切さを自然に身につけていること、これもまた大変に重要です。

参加してくれた新潟のミュージシャンたち

参加してくれたミュージシャンを紹介しますね。 

例の3人
・宮村日向(b,ds,perc,g)
・伊佐悠(ds)
・佐藤アルト(p,key)

以前から交流のあるお2人
・皆川陽介(g)
・えのもとくみこ(vo)

新しい仲間たち
・伊佐瞳(cl)
・山根純平(b)
・塩原信人(g)
・Naru(ds)

楽曲は全て僕らのオリジナル曲で統一することにしました。僕の他に、悠くん、アルトくん、日向くんが楽曲を提供してくれて、合計11曲のアルバムが出来上がりました!

できるだけ新潟にこだわりたく、新潟のデザイナーさんにCDジャケットのデザインを依頼し、三条市の撮影スタジオでジャケット写真を撮影し、みんなで大事に作ったアルバムです。

そして、このアルバムのお披露目公演を三条市で開催させていただくことになりました。
いろんな方の協力をいただき、8/11(月)㊗︎に三条市中央公民館にて17:00 から行います!

宣伝になっちゃいますが、チケットは会場である三条市中央公民館で販売しています。(0256-32-4811)
プレイガイドでも販売していますので、そのリンクを貼っておきますね。

去る5月1日、メンバーがみんな参加してくれた、僕の母校の中学校でのクリニックを終えた後、みんなでスタジオに集まり、CDがプレスされた工場から届いた未開封のダンボールを一緒に開封し、改めてアルバムを一緒に最後まで聴き、アルバムの出来上がりをみんなで心から祝いました。僕の人生の中でも最も重要な、嬉しい時間です。

しばらくはCDでの販売のみで、デジタル・オーディオとしての販売は今は考えてはいません。
改めて物の重み、そこに物があること、それを感じながらいろいろなライヴ会場で販売していきます。
もちろん8/11も会場にはたくさん持っていき、購入して頂いた方には心を込めてサインしたいと思っています。 

ぜひ参加メンバー達に会いに来てください。
そして、僕ら新潟出身者たちの心意気、生の音を楽しみにきてくれたら、それに越したことはありません。

ではまた!

TOKU


TOKUデビュー25周年記念凱旋コンサート
日時:2025/8/11(月・祝) 17:00開演(16:00開場)
会場:三条市中央公民館 大ホール(新潟県三条市元町13-1)
料金:自由席 3,000円
問い合わせ:0256-32-4811(三条市中央公民館)